第25話 ※薔子視点

「君のほうは?元気でやってるのかな」


「当たり前じゃんー」


気のない調子で薔子は言い、飲み干したカップをソーサーの上に戻した。


桜色のマニュキアを塗られた指先が照明の光をはじく。


「仕事も順調かい」


「まあね。私、かわいいからー」


両手を頬に当ててポーズを取ると、薔子は伝票を持って立ち上がった。


門田も席を立ち、


「払うよ」


「だめ。ここまでは先生のお仕事なんだから」


会計を済ませると、ホテルを出て振り返り、薔子は門田の腕にみずからの腕を絡ませた。


「ここからは私のお仕事。代わりにボトル入れてね、先生」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る