第22話

一臣かずおみは重々しく頷き、


「普段から女とろくなつき合い方してないから、そういうことになるんだよ。今回のことで反省して、まっとうな人間関係ってやつをちょっとは勉強しろ」


「言われなくても分かってるよ」


思わず憎まれ口が出る。


一臣はしらっとした顔で、


「お前が菜月さんとつき合ってた半年間、俺が何回彼女から電話受けたと思う?

その中で彼女が泣いてなかったことがあると思うか」


痛いところを突かれ、高遠はぐうの音も出ずに黙り込んだ。


しょげている友人を横目で見つめ、一臣は肩をすくめる。


「……まあ、全部が全部、お前が悪いとは言わないけどな」


しんみりとした口調が、高遠の遠い記憶の水面みなもに小さく波紋を起こす。


ホイッスルが鳴り、一臣は立ち上がり際に言った。


「『彼は誰かを真剣に愛したことがないから、人の痛みが分からないのよ』

……菜月さんが最後に言ってた言葉だ。

少なくとも、お前は彼女にそう思わせてたんだってこと」


高遠は言葉を反芻はんすうするように目を閉じた。


――そのとおりなのかもしれなかった。















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