第18話
「……今晩だけだぞ」
「ありがとー。高遠、大好き」
首に腕を回して抱きつき、薔子は今度は唇にキスをした。
高遠は抵抗せず、かといって応じることもなく、義務的に目を閉じた。
その瞬間、何とはなしに予感が胸をかすめた。
きっとこの奇妙な関係は、しばらくの間続くのだろう。
一回許すということは十回二十回許すのと同じだということを、高遠は経験則で知っていた。
脱衣所で服を脱ぎ、風呂場に入ると、むせ返るような薔薇の香りでいっぱいだった。
薔子の香りだ――高遠は思った。
入浴剤かシャンプーか何かを持ちこんだのだろう。
本日何度目かの溜息をついた後、高遠は一旦風呂を出て、ズボンのポケットからスマホを取り出した。
そして真剣な面持ちで画面を見つめると、慎重な手つきで操作し始めた。
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