第19話






高遠がフットサルの練習に参加するのは、もちろんフットサル自体が好きだということもあるが、体を動かしてストレスを発散したいのと、集まる連中と気が合うというところが大きかった。


毎週火曜日の十九時から二十一時まで、体育館を借りて十数人がざっくばらんに集まり、気軽に汗を流す。


「で、やったのか」


自分の身に起こったことの一部始終を説明すると、フットサル仲間の前田一臣まえだ・かずおみ開口一番かいこういちばんに言い放った。


「やってない」


と即座に返した高遠だったが、一臣は疑惑のこもった視線を投げかけてくる。


「やってないって。飲み会行って、帰ってきて寝て、朝起きたらなぜか隣にいたんだよ」


強い口調で繰り返すと、一臣はあからさまに顔をしかめた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る