冬の思い出

【登場人物】

佐藤(男)

シャロール(女)


【アドバイス】

寒い冬のお話なので、声を震わせるとかいいかもね。


――――――――――――――――――――


シャロール

「あれは寒い冬の日でした……」

「いつものように私が目覚めると……」


――――――――――――――――――――


シャロール

「きゃー!!!」


佐藤

「ど、どうした! シャロール!!」


シャロール

「こ、これなに!?」


佐藤

「えーと、どれどれ……」

「あー、これは雪だな」


シャロール

「ゆ……き?」


佐藤

「この、地面に積もっている白いやつだよ」


シャロール

「全部雪なの?」


佐藤

「たぶんな」


シャロール

「触っても……大丈夫?」


佐藤

「大丈夫だよ」


シャロール

「そうなんだ」


佐藤

「あ、でも……!」


シャロール

「冷たい!」


佐藤

「そう、だから手袋がいるんだよ」


シャロール

「も〜! 先に言ってよ〜!」


佐藤

「ごめんごめん」


――――――――――――――――――――


シャロール

「ほあー! すごーい!!」


佐藤

「シャロールは雪知らないのか?」


シャロール

「うん! 初めて見た!!」


佐藤

「そうかー」

「なら、雪だるまを作ったこともないのか」


シャロール

「雪だるま?」


――――――――――――――――――――


佐藤

「よし、後はこれを上に乗せて……」


シャロール

「できたー!!」


佐藤

「雪だるまの完成だな」


シャロール

「うん!」


佐藤

「だが、仕上げがまだだ」


シャロール

「仕上げ?」


佐藤

「顔を作らないとな」


シャロール

「顔?」


――――――――――――――――――――


佐藤

「うん! いい出来だ!」


シャロール

「あはは、佐藤みたい〜!」


佐藤

「それは褒め言葉として受け取っておこうかな……」


シャロール

「私の雪だるまも作ってー!」


佐藤

「ダメだ」


シャロール

「えー、なん……はくしょん!」


佐藤

「ほらほら、風邪ひくから一旦帰るぞ」

「温かいものでも食ってから、また作ろ」


シャロール

「う〜……」


――――――――――――――――――――


シャロール

「このかわいいのが、私ね」


佐藤

「ふふ、そうだな」


シャロール

「佐藤と一緒だよ」


佐藤

「うんうん」


シャロール

「ねぇ、これさ」

「持って帰りたいね」


佐藤

「そうだな……」

「でもな、シャロール」


シャロール

「なに?」


佐藤

「雪はな、家の中みたいに温かいところだと溶けちゃうんだよ」


シャロール

「え……!」


佐藤

「外にあるこの雪だるまだって、もって数日かな」


シャロール

「そう……なんだ」


佐藤

「儚い命だな」

「まあ、だからこそ美しいじゃないか」


シャロール

「……」


佐藤

「僕達を楽しませてくれてありがとうな、雪だるまくん」


シャロール

「さようなら」


佐藤

「また会おう」


――――――――――――――――――――


シャロール

「暖かくなってきたね〜」


佐藤

「よかったなー」

「もう雪は降りそうにないな」


シャロール

「あっ! 佐藤!」

「これ見て!」


佐藤

「なんだなんだ?」


シャロール

「前に雪だるまさんに被せたバケツ!」


佐藤

「これだけ溶けずに残ってるな、当然だけど」


シャロール

「二つきれいに寄り添ってるね」

「私達みたい♪」


佐藤

「ホント……だな」


シャロール

「きっと熱い愛で溶けたんだよ」


佐藤

「ふっ、そうかもな」

「シャロールも溶けないように気をつけるんだぞ」


シャロール

「……!」


佐藤

「さ、帰るぞ〜」


シャロール

「うぅ〜、佐藤ったら〜……」

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