謎の小包

【登場人物】

佐藤(男)

シャロール(女)

アリス(女)


【アドバイス】

その場の雰囲気で、声の感じを変えてみよう!


――――――――――――――――――――


佐藤

「ただいま〜」


シャロール

「佐藤!」


佐藤

「な、なに?」


シャロール

「私は怒っています!」


佐藤

「……」


シャロール

「それはなぜでしょう!」


佐藤

「ええ……」

「クイズじゃないんだから……」


シャロール

「はーやーくー!」


佐藤

「あの……あれだ……」


シャロール

「なに!」


佐藤

「残業って言ってたけど、実は後輩と飲んでたとか」


シャロール

「ええ!? そんなことしてたの!?」


佐藤

「まずい、それじゃないのか……!」


シャロール

「私はねぇ!!!」


佐藤

「……うん」


シャロール

「これに怒ってるの!」


佐藤

「小包……?」


シャロール

「ねぇ、これ誰から!?」


佐藤

「そんなのそこに書いてあるんじゃ……」


シャロール

「じゃあ、読んでみてよ!」


佐藤

「わ、わかった……」

「えーと、なになに……」


シャロール

「……」


佐藤

「アリス……?」


シャロール

「一体誰なの!?」


佐藤

「アリス……アリス……」

「誰だっけ?」


シャロール

「とぼけないで!」


佐藤

「いや、ホントに思い出せないんだ」

「どっかで聞いたことあるんだけどな……」


シャロール

「開けてみたらわかるんじゃない!?」


佐藤

「そう……だな」


 開けてみる。


佐藤

「手紙と……」


シャロール

「ネックレス!?」

「なんでこんなもの届くの!!」


佐藤

「待て待て」

「まずは手紙を読んでみよう」


シャロール

「……」


アリス

「親愛なる佐藤太郎様へ」

「この度は、うちの主人の悩みを聞いてくださりありがとうございました」


佐藤

「主人……?」


アリス

「あの人は、最近仕事に疲れているようでした。元よりギルド職員は人々のために尽くす過酷な仕事と聞いておりましたが、主人はそれにより日に日に元気がなくなっていき……」


佐藤

「……」


アリス

「私にはどうすることもできず、困っておりました。しかし、ある日を境に主人が徐々に昔の元気を取り戻し始めたのです」


シャロール

「……どうして?」


アリス

「詳しく聞いてみると、職場に頼れる先輩ができたと言っておりました。今まで仕事の愚痴しか言わないあの人が、楽しそうに仕事の話をするのです」


佐藤

「まさか……」


アリス

「私はぜひ、その方にお礼をしたかったのです。なので、大変勝手ながらこのネックレスを私のせめてもの感謝の印として送ります。突然のお手紙、失礼いたしました」


シャロール

「……これ」


アリス

「マイクの妻、アリスより」


佐藤

「あー!!! そうだ!!」

「思い出した!!」


シャロール

「なにを?」


佐藤

「マイクだよ、マイク!」


シャロール

「……」


佐藤

「そいつの奥さんの名前だよ!」


シャロール

「ふーん……」


佐藤

「心配かけてすまなかったな、シャロール」


シャロール

「……」


佐藤

「まあ、これで二つの問題が同時に解決してよかったな」


シャロール

「二つ?」


佐藤

「一つは、謎の小包」


シャロール

「うん」


佐藤

「もう一つは、僕が飲みに行ってたこと」


シャロール

「それのなにが関係あるの?」


佐藤

「マイクがあまりにも思い詰めてたからさ、誘ったんだよ」


シャロール

「そうなんだ……」


佐藤

「あいつ、最初は驚いてたけどな。だんだん打ち解けてきて。顔も明るくなって、安心したよ」


シャロール

「それじゃあ、なんでそれを隠してたの?」


佐藤

「それは……帰ったらシャロールはもう寝てて、なんか……言いにくかったんだ」

「ごめんな」


シャロール

「そっかぁ〜……」


佐藤

「今度からは、連絡するからさ」

「機嫌直してよ」


シャロール

「……」


佐藤

「おなかペコペコでさ」

「早く夜ご飯食べよ?」


シャロール

「う〜ん、わかったよ……」


佐藤

「ひょっとして……まだなにか言いたいことが?」


シャロール

「佐藤……」


佐藤

「なんだ?」


シャロール

「浮気じゃなくよがった〜!!」


佐藤

「シャ、シャロール……!」

「お、落ち着けって」


シャロール

「佐藤のバカバカ、バカー!」


佐藤

「ありがとう、シャロール」

「そんなに僕を思ってくれて」

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