終わりかけた夏にしがみついている
・この前少し遠方まで足を伸ばしたら、ミンミンゼミの鳴く声が聞こえた。ずいぶん懐かしい心持がした。京都ではミンミンゼミは鳴かない。きっとミンミンゼミが生きていけないほど暑いからだろう。そんなところで人が暮らしていけるわけないだろ。
・「よいこのみんなは部屋を明るくして、テレビから離れて見よう」のフレーズに昔から違和感を覚えていた。「よいこのみんなもわるいこのみんなも須らく部屋を明るくして、テレビから離れて見よう」にするべきだと思う。悪い子に隙を与えてはいけない。
・俳句や和歌では作家にまで注目するのに、小説では作家に興味ないんだね、と言われてどきりとした。確かに。その理由を考えてみたけれど、納得する理由が見つからない。自分自身ほど、理解に難い人間は居ない。
・俳句では尾崎放哉の作品が好きだ。小説では太宰治。なるほど私はダメ人間の作る作品が好みらしい。或いは私自身もダメ人間なのかもしれない。そんなこと疾うに知っている。
・愛だ恋だの問題は数千年間人類も悩ませ続けた問題であり、ほとんど全ての人間はかの問題の渦に呑み込まれてきた。私も例外なく渦中に在るが、好きな女の子の手を握ればそんな思索の殆どはすっかり忘れてしまう。或いは私は阿呆なのかもしれない。そんなこと疾うに知っている。
・会話の中で、「終わりかけた夏にしがみついている」というフレーズが口からこぼれた。それを言った時点では特に気にしてなかったが、今思い返してみるとなかなか良いフレーズだと思う。私たちは終わりかけた夏にしがみついている。
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