第4話 動き

「おかえり。湊」

「ただいま。優愛」

「どうだった? その最恐の魔術師は」

「まあまあ……直接的な協力は得られそうにない。でも、ちょっとはまあ……そこそこ」

「そっか」


 このあとどうしよう……多分、証拠はすぐ掴まれてしまうだろう。そうなれば俺の実力からして不意打ちを狙ってくることだろう。そうなれば、街中で戦うことも考えなきゃいけない。

 それなら、いっそのこと抵抗してやろうかな……


「優愛、そのー……」

「どうしたの?」

「優愛って、まだ、戦える?」

「うん、戦えるよ。それがどうしたの?」

「いや……その……もしかしたら戦うことになるかもなって」

「そっか……じゃあ、頑張るね」

「ああ……うん」


 ここで頑張ることによって追放されて負魔術師の仲間入りなんかしたら、今度は俺の体が壊れてしまう。


 できれば穏便に済ませたいところだけど、それは無理そうだしな……逃げるしかないか……



「優愛、」

「ん?」

「逃げるぞ」

「えぇっ!! 急に!?」

「急に動き出せばあっちだって……」

「わかった」



 俺は優愛を連れてあてもなく逃げた。


 ◇◇◇


 そのころ上層部では……


「玖珂湊について調べ終わりました」


 とある魔術師がそう言った。ちなみに朝吹悠莉でも若葉海亜でもない。


「そうか。結果は」

「怪物を連れていました。その怪物は恐らく約9年前に死んだ魔術師、翼優愛と思われます」

「その翼優愛と玖珂湊の関係は」

「魔術学園時代の同級生です」

「双方のランクは?」

「玖珂がA、翼は魔術師時代はBです。翼の現在のランクはわかりません」

「そうか……では、あの作戦を実行に移せ」

「わかりました」


 そんな会話がされていた。

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