第9話 ドラゴンと出会う

 ルナは泉のそばで寝転び、空を眺めていた。 青い空に雲が浮かんでいる。

あの雲はカップケーキに見える。あの雲はドーナツ。あの雲は、、、


「お腹が空いた〜 そろそろお昼にしようかな。」


起き上がろうとした瞬間、顔を覗き込まれた。


「うわぁ!!」


 ルナは飛び起きた。 ビックリして、腰が抜けてしまった。 覗き込んだのは、見たこともない綺麗なシルバーのドラゴンだった。 気配も音もしなかったから、ビックリした。


『怖がらないで、襲ったりしないから。』 優しい声が聞こえてきた。


ん? このドラゴンの声? 話ができるの? とか考えていたら


『ビックリさせて、ごめんね。 ねえ、君は誰なの? 何故、ここで寝転がっててるの?』

シルバードラゴンは尋ねてきた。


大きいのと初めて見るドラゴンにドキドキしながら…


「私はルナ。 森を抜けた所に住んでいて、今日、初めてこの森まで来たの。 ここの泉はとても綺麗で、眺めながら休憩をしていたの。」


『そうなんだ。 凄い魔力を感じて来てみたら、君が寝ていたから気になって、、、』


「そうだったの。 私も初めてドラゴンに会ったから、ビックリした。 良かったら、今からお昼にしようと思っていたの。 一緒に食べない? サンドイッチなんだけど、食べれるかしら?」と微笑んだ。


『一緒にいいの? このままじゃあ、食べ難いから人間の姿になるね。』


「…えっ!」


シルバードラゴンは、あっという間に人の姿になった。 ルナと同じ銀色の短髪で背は高く、綺麗な男性が目の前にいた。


「僕くらいになれば、変化は簡単だよ。 これなら、一緒に食べれるね!」


…見惚れてしまった。 こんなイケメン見たことがない。 …ヤバい


「これ美味しいね!! こんなに美味しいのって、食べたことがないよ。 ルナって、料理がうまいんだね!」


…イケメンから褒められた。


「…ありがとう。 嬉しい。」 、、、照れる。


それから、しばらく2人は楽しくおしゃべりをしていた。


「あっ、私、そろそろ家に戻るわ。 とても楽しかったわ。」


「僕も人間と話すのは、久しぶりだから楽しかったよ! 良かったら、送っていくよ。 僕の背中に乗って!」


そう言うと、ドラゴンは元の姿に戻った。 ルナはドラゴンの背中に乗り、ドラゴンはゆっくりと羽ばたいた。 恐る恐る下を覗いてみると、、、


「わぁ!!高いし、ここの土地がよく見える。」と言って、はしゃいでしまった。 …恥ずかしい。 でも、とても綺麗。 まず、ドラゴンの背中に乗せてもらえるって、すごくない?

『あれ、風の抵抗がない?』 不思議に思っていると、あっという間に家の近くに着いた。 ルナは、ドラゴンから降り…


「送ってくれて、ありがとう。 とても楽しかったわ。」


ドラゴンも嬉しそうに 『また、乗せてあげるよ!』と言った。


「今度、ご馳走するから、うちに遊びに来ない? もし予定がなければ、明後日とか、どう?」


『えっ! いいの? 嬉しいよ、絶対遊びに来るからね! 明後日だね!楽しみにしてるよ。』


ドラゴンは、嬉しそうに帰っていった。


 ルナは、手を振って見送った後、「ご馳走は何にしよう、楽しみだわ! あっそうだ、友達になってくれたら嬉しいなぁ! …名前を聞くのを忘れてた。 それにしても、今日は大収穫だったなぁ。魔法を覚えたし、泉はあるし、ドラゴンとも知り合いになれたし、空も飛べるなんてね!」


ソファーに座り、うとうとと寝てしまった。

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