第10話 聖剣

 数時間、寝ていたのだろう。 外が暗くなって来ていた。


「う〜ん、さてと夕食の準備をしなくっちゃね!」


キッチンに向かい、収納バッグの中から肉や卵、野菜を取り出し、スープを作る。 

「この材料なら、オムレツも作れるわね。」 後はパンを焼いて、夕食の準備完了。 手を合わせ、「頂きます。」っと、食事を楽しんだ。 

後片付けをして、外の空気を吸いに出た。 


「今日は、満月なんだ! この世界の月も、凄く素敵ね。 月神様、今日もありがとうございます。 

 そうだ、庭も綺麗にしないと。 ベンチとか置いて、花もたくさん植えたいし、家庭菜園とかの準備もしよう。」 当初、考えていたことを実行しようとワクワクしてきた。


 ふっと思った。 

「そう言えば、街に行った時に銅像の剣を触ってみたかったんだっけ。 今なら誰もいないと思うから、ちょっと行って触ってみてもいいよね!」


 ルナはそう考えて、出掛ける準備をした。

「転移魔法が使えるから、楽だよね。」 行きたい所を思って、目を瞑った。


『ヒュン』


目を開けると街の建物の影に来ていた。 噴水近くの銅像まで行き、辺りを見回した。 『よし!誰もいない』 目の前の剣に手を掛けた瞬間、強烈な光を放って剣が抜けた。


「え、えーっ!? 、、、どうしよう。」

 ルナは、困惑していた。 誰も抜けないのに、自分が抜いてしまうなんて…

「こんな簡単に抜けてしまうなんて、街の人たちは抜けなかったのに… 取り敢えず、戻しておこう。」 と戻し掛けた時、不意に声がした。


『ち、ち、ちょっと待て待て。 我は聖剣の精霊だ。 貴女が来るのを何百年と待ち続けた。 昨日、貴女を一目見て、心が踊ったのだ。 やっと見つけたと、、、長かった、、、我を、我を一緒に連れて行ってほしい! 貴女のそばを離れないし、守って見せよう。』


 ルナは腰が抜けそうになる程、驚いた。

「つ、つ、剣が、しゃべった!! 、、、えっ!? 、、、連れて行け、、、と。」


『うむ、そうだ。』


「えーっ! だけど、ここに剣がなくなったら大騒ぎになるし、目立ちたくないよ。」


『しかし、なんと言われようが、我は一緒に行く! どの位この時を待っていたと思うか、、、800年だぞ! もう一度言う800年だぞ! 大事な事は2度言う! 絶対、着いて行く!! 』


「しょうがないなぁ〜 まあいいか。 私が抜いたって分からないだろうし、見た目を変えたいなぁ。 《変化魔法》が使えるかなぁ?」


『 、、、 』


ルナは頭に『剣』の違うデザインを思い浮かべて、《変化魔法》と唱えてみた。

『チャララン』と音がした。 魔法が増えたみたいだ。 


“ポワーン”


「と言うことで、見た目が変わっているから、他の人から見ても聖剣って分からなくなったわね!」


『、、、うむ、いいだろう。 一緒に行けるのであれば、大丈夫だ。』


 聖剣?が、家族?になった? 


「剣にも精霊っているのね。」

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