魔法学校・占い・再放送

 ドラゴンが口を開けるとその奥に火種が見えた。それが吐き出されたときに防ぐ手段はあまり多くない。氷姫ひめの氷の壁を作るか、たすく自身が魔法で対抗するかだ。ちらりと他の連中の顔色を伺うけれど氷姫が覚悟を決めた顔しているほかはどうしていかわからなそうな顔をしている。


 ドラゴンのように空を飛び、体の表面を鱗に守られた存在に対抗できないと知っているからだ。


 佑としても能力に選択肢があるが、どれが最適かなど選べず、やれることをしてもその場しのぎでしかない。占いにすべてを託して責任から逃れたい気持ちも湧いてくるが必死に抑え込む。


 ここまでこれたことが奇跡みたいなものなのだ。ここまで来て日和ることもない。やれることをやるだけだ。


 魔法使いに転職。風の膜を作って炎のブレスをそらす準備をする。


 「魔法学校の主席ですら、我に敵わなかったというのに。そんなチンケな魔法でどうにかなるわけないだろう」


 ブレスを吐き出しながら声を出すなんて器用なことがでできることに驚きながらも必死に風をおこし続ける。押し負けそうになるのが魔法を通じて感じられて焦りが募る。


 必死に食い歯を食いしばって耐えているとキラキラしたものが風の膜の中に現れ始めた。それは眩しく黄昏色を反射している。


 みると氷姫がおんなじように必死に氷の壁を生成しているのだ。しかしそれは炎によって徐々に溶かされていく。でも佑が風で吹き飛ばす時間をかせぐには十分だった。


 アニメの再放送を見ているかのような気分に陥る。この展開を自分は知っているのだ。きっとどうにかなる。そんな予感が佑の中に確かにあった。

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