一発屋・スペシャル・英才教育

「あっ。出口見えてきたよ」


 どれくらいこの場所に開けって来るのを待ちわびたのだろうか。隆司りゅうじくんが心底ホッとした声を出す。物語的にそれはフラグでしかないと思うのだけれど口にしたらそれこそフラグだから口にはしない。


「お前らはスペシャルな連中なのか?俺をあんなきぐるみの集団の中に置き去りにするとは。他の3人の姿も見えなかったし一体どうやったっていうんだ。俺たち一応強かったはずなんだけどな」


 上空に突然現れたドラゴンは見下ろしながら空気を震わせる。その声はこちらを見下しているように聞こえる。


「あれは一体なんだ?ドラゴンにしては随分下っ端臭がするが」

「あっ?お前は弾丸か?なぜそいつらと一緒にいる?」


 ドラゴンのその言葉に弾丸としての記憶が表面に浮き上がってくる。ああ。こいつは一緒に戦った同志だ。ただくそったれな一発屋な同志だ。この世界に居座ることを目的とし、ここの世界のことなんて気にもとめず。自らの欲求のためだけに行動し続けたクソ野郎なドラゴン。


 人間をどうとでもできる力を持ちそれをためらうことなく振るうことができる。どういう英才教育を受ければそんなドラゴンに育つのかわからない。


 そしておそらくここから出るにあたって最期の難関。放置しておけない存在。

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