リセットボタン・こんにちわ・ネタバレ

「おいおい。ネタバレには早いんじゃないのか。小さきドラゴンよ。せっかくいい感じに彼らが混乱していたというのに」

「それになんの意味があるのさ。たすくおにいちゃんの物語は長い長い物語さ。それも壮大で荘厳な物語だ。その長い道のりのなかでいろんな佑おにいちゃんが存在する。そのどれが本物でどれが偽物なんて話じゃないし、それこそリセットボタンなんて存在しない。dあからこれも佑にいちゃんだと受け止めるのが一番なんだけれど」


 そこまで喋って隆司りゅうじくんはあたりをくるりと見渡す。


「そう言われたところで納得できないよね」


 その言葉に氷姫ひめはこくりと頷く。永遠とわさんやかえでさん夏希なつきさんもだ。


「方法はあるけど失敗する可能性のほうが高い。何度か挑戦できるけどすればするほど成功率は下がるし、世界からの監視が厳しくなる。あと、相当辛い思いをしなくちゃならない。それでもいい?」

「もちろん」


 代表するかのように永遠さんが答える。


「おいおい。こっちはすっかり無視かよ。そう簡単に話を進められたらこっちも困るんだよ」


 ライオンさんがずいっと前に出てくる。それを隆司くんが小さな手で抑え込んだ。その光景は異様でしかない体格は余裕で2倍近くある。それなのにライオンさんが力負けしていた。


「こんにちわ。佑おにいちゃん。多分はじめましてだよね」


 気絶していた弾丸を起こすようにあいさつする隆司くんの気配がなんだか怖く感じた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る