ガラスの・一年生・星人

「そうだよ。そんなことより大丈夫?話はあとにしてとりあえずこのドラゴンどうにかしないと」


 倒れ込む氷姫ひめを治療しながら夏希なつきはその大きな体をゆっくりと見上げた。


 隆司りゅうじくんと名乗ったドラゴンが元からいたドラゴンと組み合いに向かっていった。一体何が起きているわからないが、なんにせよチャンスだ。大きな戦力が増えたことには変わりない。


 大きな衝撃とともにドラゴン同士がぶつかり合う。近くのガラスの窓が割れる。その家からなんとか星人としか家な風貌の見たこともない人間(?)と思える人が飛び出してきた。そしてその衝撃波はは夏希のところでも届くはずだったが。それは氷の壁に阻まれた。


「氷姫ちゃん。大丈夫?」


 意識が朦朧としたのは一瞬なのだろうか。それにしても物語の力を連続して使いすぎている。隆司くんが現れて張り切っているところなのだろうがこのままだと危ないことには変わりない。


 ちらりとかえでさんの方を見るむくりと立ち上がっているところをみると喜美子きみこさんはきちんと治療が終わったみたいだ。


 だったら。


「ちゃんと、決着つけてもらわないとね」


 夏希は残っている物語の力を氷姫の中へ流し込む。自分の力が抜けていくのを感じながら、それでもやる価値があることだと信じて続ける。


 喜美子さんの姿が薄くなっていって消えていくおが見える。一時的なものだとしてもこの瞬間はいつだって悲しくもある。


 アイドル一年生だった夏希に力をくれたのは喜美子さんだ。その存在が一時でも離れたくはない。それでもこのまま弾丸とドラゴンにやられるわけにはいかないのだ。


 支援しか出来ない自分の能力を呪ったこともあったのだけれど、今は少しだけ感謝しよう。その力のおかげで助かる道が見えている。


「あとはお願いね。氷姫ちゃん」


 そう小さな体に願いをたくした。

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