宝探し・出会って2秒で・別居

「そこにいるだろうから一緒に行こうよ」


 そう言って女子高生に手を引っ張られるがままに廊下に出るとほら。そこだよと指さしていた。その先には黒電話が置いてあった。


「あれがイヴに繋がる通信機。とりあえず話しかけてみるといいよ」


 電話をしてみればいいということなのだろうが、なにを質問すればいいのかわからない。この学校に危ないことをしている人がいるか聞いてわかるものなのか。そもそも何を企んでいるかわからない人たちを探し出そうというのだ。


「この学校に怪しいことをしている人たちはいますか?」


 色々悩んだ結果あいまいなまま質問してみた。


「こんにちわ。氷姫ひめさん。その質問にはいくつかの候補がありますが、出会って2秒では流石にあなたの望んだ答えを導き出すことはできませんでした」


 どこかにマイクでも設置してあって情報を常に収集しているのだろうか。名前を呼ばれたことに驚きを隠せない。


「宝探しをしているわけじゃないの。この街に対して害の成すことを計画している人たちを探しているの。その情報収集能力ならわかるんじゃないの?」


 女子高生が後ろで怪訝な顔をしているのがわかった。


「答えはネガティブです。そんな生徒はこの学校にはいないですよ。氷姫。いるのは心優しい人たちだけです」

「そうですか。もしかして学校の外のこともわkったりするのですか?」

「それもネガティブ。私はこの学校を管理するもの。ここから外のことはわかりかねます」


 大した情報がないことにがっかりしつつもこの場所には求めている情報はなさそうだ。永遠とわさんを見つけ出して早いところ移動しないと。


「永遠さんがどこにいるかわかりますか?」

「それはわかりますよ。屋上にいるようです。別居中のパンダと話をしていますね」


 ほんとに学校のことなら全部わかりそうなイヴに感謝しながら女子高生に案内をお願いした。

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