売りつくしセール・めそめそ・日曜日

 売りつくしセールかと思うくらいの勢いで橋から話しかけていく犬と猫の仕事を終えるのを待つしかなかった。


 物語特有の悩みから些細な近所付き合いまで、対象様々な問題に耳を傾けてはそれに対して少し大げさではないのかと思うほどのリアクションをしている。


 しかし、リアクションはするが具体的なアドバイスはしない。それでもめそめそしてたのに話しかけられた物語たちが満足気な顔をしているのを見るとここは自立した国として上手く機能しているのだろう。


「なあ。そろそろ話を聞きに行こうぜ」


 飽き始めたのか永遠とわさんが大きなあくびをしている。


「あんな顔しているのを邪魔できませよ」


 先を急ぎたいのは山々だけれど、ここまできてここで焦ったところですぐには結果が届くわけじゃない。それよりも確実にふたりのことを聞き出すのが大事だ。


「じゃあ、そのあたりで寝ているからな。よいタイミングで起こしてくれよ」


 勝手だなと思うが、仕方ないとも思う。日曜日の父親のようなものだ。普段頑張っているのだからこんなときくらいゆっくり休んでほしいものだ。


氷姫ひめ。なんだか失礼なこと考えてないか」

「気の所為ですよ」


 その言葉になっとくしたのかしていないのか。永遠さんは大人しく噴水から離れていった。

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