サンタクロース・斎藤・R-18

「これっていったいなんなんですか……」


 呆然と立ち尽くす氷姫ひめの前に広がる光景は永遠とわさんにとっても唖然とするしかないようで、ただただふたりでしばらくの間を立ち尽くしていた。


「なにって街だろ。どう見たって……」


 それは見ればわかると言いたいところなんだけれど、地下に当たる場所にこんなに広い街が拡がっているだんて信じられないのだから仕方のないことだと思う。それに……。


「あきらかに物語が混ざり合ってるよな。こんなのってありかよ」


 そうなのだ地下なのにどこからか光が降り注いでいる。そうしてそこに暮らす人々はどうみても普通ではない。


 国も違えば時代も違う。みたこともない人だけれど人でないのがわかる人すらもいる。それは服装や髪型、獣耳や翼の生えたかどうかで判断できた。中にはサンタクロースの姿をしたものもいて一見コスプレパーティのようにも見えたけれどそれは自分をごまかしているだけだと、そう思う。


 それこそそれはファンタジーの世界だと言えるし、この上に広がるテーマパークを表しているようにも見えた。でも、少し横に目をやれば斎藤の表札が掲げられた家があるくらいには日常感もある。でもその斎藤さんの自宅から出て来たのはドラゴンの顔をした人型の人だ。


「こりゃ、R-18だな」


 確かに種族や世界の差なのか。あきらかに外を歩いてはいけない露出をしている人(?)も少なくない。こちらの視線に気がついてウインクしてくるくらいに余裕があるその姿に立ち尽くしたままだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る