おどる・ポリス・面接

「こ、これは?」


 たどり着いたのは、底が見えないくらい真っ暗な下へと続く階段だ。まさか、階段を登ったさきに降りる階段があるだんて思いもしなかった。巧樹こうきくんもそれが自分の目標に向かっているのがわかるのか永遠とわさんの腕の中で大人しくしている。


「これってどうやって見つけたんですか?」


 不思議でしょうがない。この広い場所でどうやってこの場所を探し当てたというのか。この前観た映画に出てくるポリスみたいだなと思う。


「んー。なんとなくだな。走り回ってそれらしいところ探してたら見つけただけだよ。この下から怪しい匂いがぷんぷんしていたら連れてきた。さあ。潜ろうぜ」


 下るとかでもなく潜るという表現がしっくりくる。それくらいその先は見えなくて、どこまでも続いて言うようなきがしてくる。そして氷姫ひめはそのことに心がおどるのを感じていた。おそらくそのことを永遠さんも感じているのではないのかと思う。であればここが見つけられたことも理解できる。


「これ嫌なんだよなぁ。まるで面接に向かうみたいなときの空気感が漂ってるんだよ」


 永遠さんはわくわくしていないのか、ちょっと不機嫌そうな顔をしている。それは巧樹くんも一緒なのかどんどんと顔が険しくなっていく。


 先程まではあんなにボーッとしていたのにと思う。もしかしたら物語の力が濃くなっていく中で取り憑いたものの力が強くなってしまっているのかもしれない。

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