おままごと・アスレチック・を止めるな

隆司りゅうじくん!」


 小屋の中に入ると。美味しそうに食事をしながら満足気に目の前の食べ物を食べている。どうやらオムライスみたいだ。


「あっ。たすく!」


 佑を見つけて嬉しそうにするのを見て佑自信も嬉しくなる。


「おう。元気そうでなによりだな」


 永遠とわも喜んでいる。氷姫ひめも同様だ。


「う、うん?」


 隆司くんが永遠に対して、どこかよそよそしい。まあ、これがわかるのか。やっぱり隆司くんは優秀だなと思う。


「なあ。もうおままごとは止めにしようぜ。永遠。いや、偽物さんよ」


 明らかに言葉遣いがおかしな永遠。それに連れている氷姫の様子も明らかにおかしい。反応がにぶすぎる。おそらく人形かなにかのたぐいなのだろう。


 目的は隆司くんを確保するためなのだろう。魔女の敵対勢力なのかそれとも魔女が負けたときの保険か。


「ほお。バレてるのか。まあテキトーに姿を借りただけなのだから仕方ないか。まあいい。竜の子を渡してもらおうか」


 急に本性を表したその男の姿が変わる。


「隆司くん走るのを止めるな。そのまま走り続ければ本物の永遠が待っているはずだ。こいつは俺が惹きつける。一緒につとむさんのもとへ帰ろう」


 隆司くんはこくりとうなずく。そして男の横を上手にすり抜けると走り始めた。


「追いかけないのか。随分と余裕だな」

「それはお互い様だろう?ひとりで相手になるとでも思ったのか?」


 変身能力か。それも永遠と似通っている能力だけれど。根本が違ければ、物語自体も異なるはず。


「ああ。もしかしてこの場所に誘導したのもお前か。魔女を倒させたってことは違う勢力なのか」


 子どもの姿で氷姫にいたずらしたのだ。そんなの許せるはずもない。


「ほう。それも気づくか。大人しくしてればあの子どもと一緒にアスレチックに案内してやったものを。勘がいいと損するよ」


 男は戦闘態勢に入る。隆司くんが逃げられる時間だけ稼げればそれでいい。

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