ランセル・ちょっぴり・という言葉は私の辞書にはない
「それで。この街に例の魔女がいるっていうのかよ」
置いてかれたことと、怖すぎるお化け屋敷を抜けて。ふてくされていた
繁華街よりも住宅街。人通りも多くもない。学校が終わったばかりなのかランドセルを背負った小学生がちらほらと見える。
ふと。氷姫がその小学生の集団を見つめているのに気がつく。もしかしたら羨ましいのかもしれない。普通ならああやって楽しそうにしているのだ。それが、時代を超えて今ここいる。しかも、戦いに巻き込まれている状況だ。普通に暮らしたいだろうにと今更ながら気がついてはっとしてしまう。
「氷姫。黄昏書店に一旦戻るか?」
気を使ったと言うより申し訳なくなったに近い感情が渦巻く。
「どうしたの?早く
ちょっぴり背伸びしている氷姫の後ろ姿を情けない気持ちで追いかける。
「おーい。お前らなに人のこと無視してるんだよ。怒るぞー」
永遠が後ろから叫んでいる。
「だから言ってるだろう。反省という言葉は私の辞書にはないんだ」
その後ろからもっと大きな声が聞こえてきて、氷姫と一緒にぎょっとして足が止まる。それは永遠も一緒だ。
「なんだぁ」
おじさんが、ひとりで騒いでいるように見えて、余計にぎょっとする。目の前に誰かがいるとは思えない。しかし、独り言とも思えない音量だ。
「永遠。先急ぐぞ」
関わらないのが一番だと判断してその場を急いではなれる。おじさんがこっちに気がついてギロリと睨みつけてきている気がしたけれど、きっと気のせいだ。
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