棒・最初で最後の・三代目

 黄昏書店の閉まっているシャッターが揺れる音がして、全員が顔を見合わせる。いや、隆司りゅうじくん以外がだ。


「誰か来たのか?珍しいよな?」


 珍しいのレベルではない。黄昏書店はどうなっているか知らないけれど、語り部しかたどり着けないはずなのだ。そうなると自然と警戒心が増す。


 間違いなく誰かがシャッターを叩いている。それがだんだんと大きくなっている。それには何やら焦りみたいなものが感じられる。


「お、おい。なんかやばい感じする。とりあえずふたりはそこにいろ」


 永遠とわたすくに顎だけで行くぞと指示してくる。このままにはしておけないし。当然だ。


 足音を立てずにそろりそろいと近づいていく。その間もシャッターの音は鳴り止むことはない。相当、用があるのか。


「おい。なんかやばい気がするぞ」


 確かに異常なほどにしつこい。ただ事じゃないのは佑もうすうす感じていた。それに、シャッターが壊れそうな感じがするくらい大きくなっていく。


「はぁぁぁあ」


 シャッターが破られて外から棒を持った大柄な男が入ってきた。嘘だろと思うけれど、相手が語り部であればおかしいことではない。


「三代目はどこだ?」


 三代目。誰のことだろうかつとむさんのことだろうか。しかし、シャッターを壊して侵入してきたやつに教えてやることではない。


「ずいぶんとあらっぽい来店された方にお教えする必要はないかと思われますが」


 嫌味に聞こえたのだろうか。男はぎろりと佑を睨みつけてくる。


「最初で最後の質問だ。三代目はどこだ?」


 さっきもしたから最初でもなんでもないのだけれど。そもそも三代目がだれだかわかっていない。


「知らないって言ってんだろ。そんなことよりこんなことしておいてただで帰れれると思うなよ」


 永遠が挑発するように返事をする。


「そうか。じゃあ死ね」


 男はそ言うと襲いかかってきた。

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