エクスカリバー・おこさま・リンスin
「おこさまは美味しそうに食べるなぁ」
「あんたもちゃんと美味しそうに食べてるけどね。女装泥棒さん」
そんなことはなかった。
「なんだよ女装泥棒って、だれのことだよ」
「あんたのことでしょ。なんでわかんないのよ。そもそも能力使ってなんで女子にばっか変身するのよ。なんの趣味よ」
「しょうがないだろ。そういう物語なんだから。男だって動物だって女子に変身するんだよ。それに盗んでない。自分のを取り戻しただけだ」
「だれが信じるっていうのよそんなの」
「別に信じなくてもいいよ。そんなことより気にしなきゃいけないことがあるんじゃないのかよ。いったいありゃなんだ。黄昏時を自由に制御できるなんて何者だよありゃ」
「黄昏時ー?」
会話を聞いている
「勉さんは知ってるんでしょ?」
その態度が納得できなくて少しきつい言い方をしてしまう。
「知っているわけじゃないけど、心当たりならある。最近語り部たちを集めてなにかを企んでいるらしい組織がある」
「暁とかじゃなくて?」
夏希がそう返すが、知らない言葉が出てきて話を止めて聞くわけにもいかず、一旦スルーする。
「暁とは違う。エクスカリバーとか名乗ってる」
「なんで聖剣。意味わかんない」
「それはこっちだってわからないよ。名乗ってるんだからそう呼ぶしかないだろう。目的も不明だ。ただ、強い力を求めているのは間違いない。予選って言うのもそのためのものかもしれないってだけ。そして、黄昏時が終わらなかったっていうのもどうやら局地的みたいだよ。ここからは観測できていない」
「えっ。あれだけ大騒ぎだったのに」
隆司くんを除いた全員が驚く。
「なんだよそれ。そんなことできんのかよ」
「出来るんだろうね。それが起きたから君たちが疲弊している」
信じがたいことに沈黙がその場に流れる。
「さ。食べ終わった泊まっていくといい。もう夜も遅い」
その言葉にそれとなく全員が頷いた。
「ねえ。ここってリンスinシャンプーじゃなくてちゃんと別れてるやつでしょうね」
夏希だけは違う心配をしていたみたいだけど。
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