はらぺこ・忘れられない・記念日
「ねー。はらぺこだよー」
久しぶりに聞いた気がする
「はいはい。ご飯にしようね。
「えっ。いいんですか!?わーい」
「えっ。俺もっすか?」
「あと、そっちの君もね」
陰に隠れるようにしていた
「今日はなにー?」
「大勢いるからカレーだよ。今お皿によそうからねちょっとまってて」
そしてその証拠とも言わんばかりに人数分作っている辺り、どこまで見えているのだろうと本気で考えてしまう。この人ならば今日のあの不可解な出来事の正体も知っている様な気がしてならない。なんならこの人が全部を仕掛けたのだと思ったりもしてしまう。
「で、無事に決勝のステージに残れたみたいでなによりだね。ずいぶんと脱落した人が多かったから、ちょっとだけ心配してたんだよ」
「ちょ、ちょっと。一体なにを知ってるっていうんですか。知ってるなら今日のあれがなんなのか説明してくださいよ」
「そうだね。まあ、カレーを食べながらでいいじゃないか。すぐ準備するからちょっとまっててよ」
カレー。カレー。とひとりテンションが高い隆司くんをよそにほかのみんなはどうしていいかわからず戸惑っているみたいだ。
それくらい今日の出来事は衝撃的だった。記念日と言ってもいい。忘れられない一日と言う点では一緒だ。
「さ、みんなちゃんと座ってるね。たべようか」
「いっただきまーす!」
隆司くんに続いてほかの人も小さくいただきますと呟いてからスプーンを手に取った。
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