最強説・ゴリラ・そんな時こそ
「男はな。そんな時こそ。力を発揮しなくてはならない」
そんな時とはどんな時だよ。そうじいちゃんい質問したかったけれど声が出ない。そうしてからようやくこれは夢の中なんだと実感する。これは実際に言った言葉なのか、単なる想像なのかそれすらもわかりはしない。でも確かに力強さを感じるその言葉にじいちゃんがいたというか確証だけが高まっていく。
見上げるじいちゃんの姿は自分の記憶の身長が随分と低いことを実感させる。
「まさかなぁ。お前がそんなことに巻き込まれるなて思ってもみなかった。ほんとにごめんなぁ。今度遊園地でゴリラ見るって約束したのになぁ」
場面が切り替わって今度は悲しそうなじっちゃんが出てきた。そんな約束したっけと思う。それに。先ほどよりさほど見上げなくなっている。あれから身長が伸びたんだと思う。そこに日の流れを感じる。
なんで悲しそうな顔をしているのかが分からない。まるで世界が終わってしまうかのようなその顔に、やはり見覚えがないことが悲しくなる。
「九重流に最強説が流れたのがまるで嘘みたいな弱体ぶりだな」
こんどは知らない人の声がする。じいちゃんと対峙しているのが見える。これは記憶なのか、実際にあったことなのか。そうだとしたら。目の前で繰り広げられる戦いはまるで語り部同士の戦いにしか見えなくて。人間離れしたパワーとスピードと技が繰り広げられ続けじいちゃんが傷ついていくのが早送りみたいに流れていく。
でも実際にこれが現実世界で起きたことならそれはそれでいろいろとややこしくなるので、きっと埋め込まれた設定がこうやって夢に出てきているのだと。佑はそう思うことにした。
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