お父さんは・100%ジュース・かもしれない
暗くなった海は闇が深く、じっと見つめていると飲み込まれてしまいそうになる。傷が徐々に癒えていくのをじっと待っている。
100%ジュースの中でもオレンジジュースが一番美味しいと思っているのは、
不思議なもので自分自身を信じられなくても、自分自身が崩れるものではないのだと実感している。
自分の腕を確認する。先日の出来事の際にコピーした機械仕掛けの腕をイメージする。当然のことながら変化しないのは、夜だからだ。もっと曖昧な時間帯でないと変化しないのは確認済みだ。
それにしてもあの子は力をずいぶんと使いこなしていた様に思える。何度かチャレンジしているがあんなふうに力を使えたことはない。
でもあの子は自由自在に操っているように見えた。もしかしたら長い時間、物語の力に触れ続けているのかもしれない。
勉さんによると自分の姿形が変わるわけではないそうで、自分を知っている人に会えば相手は気がつくはずだと言っていた。おそらく姿や顔は人がイメージできる範囲が広く、曖昧なことも多い。そもそも漫画の登場人物みたいな人がその辺を歩いていたら妙だろう。世界はそれを許しはしない。と相変わらず分かるようで分からない説明を受けた。
だからあの様子だと、九重佑以前の僕を知りはしないのだろう。そもそも中学生だし、住んでいるところからある程度距離もある。可能性は低かった。
自分のことを知ってから初めてお父さんに連絡をした。びっくりするくらい普通に会話できて驚いたくらいだ。にわかには信じられなくなる自分の正体にお父さんは何かを感じ取ったみたいで、『困ったらいつでも言うんだよ』なんて言葉を掛けてくれた。
だからより一層。妙な存在に鳴ってしまっている自分のことに罪悪感を覚え、少しでもそれを薄めたくて、自分の元を探し当てたい。
だからこんなところでいつまでも遊んでいられないのだ。なんとかしてあの中学生を止めなくてはならないのだ。
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