第9話 戦
さて、リザードマンの長達の居場所はわかってる。どうやって話しをつけるか何だが…私はコミュニケーション能力が高くは無いのでね。
一応人間の姿でローブは着けているが…はぁ…
集落にたどり着き、入口に入ると竹のなり合う音が響いた。はぁ…めんどい…
すると四方八方をリザードマンに囲まれた。
【何用だ!人間…では無きものよ!】
『ほう…流石にバレるかw』
【我ら今から大事な作戦がある故にソナタの相手をしている場合ではない。邪魔をするなら殺すまで。】
『その作戦とはアンテ村を一斉に襲う…では無いか?』
周りのリザードマン達は息を呑んだ。
【な、何故それを!答えろ!】
『答えるも何もその作戦、何故もちかけられた?あんな小さな村にこんな大衆のリザードマンが生活出来ると思うのか?』
【…そ、それは…】
『お前らは利用されてんだよ。1つ良い事教えてやる。もしお前らがアンテ村に行ったら皆殺しだ。そして死体を利用される。』
【…本当か…】
四方八方を囲んでいたリザードマン達は驚きと戸惑いを隠せずどうしたらいいのか困っている様子だ。すると奥から周りよりはるかに体の大きさや魔力が違う数名のリザードマンがこちらへ向かってきた。
やっと長の登場かよ…はぁ…私はため息し過ぎw
【話は聞かせてもらった。だが、我らとでここでの暮らしももう十分苦しい、なら少しでも希望のある事をするまで。それで死ぬのであればそこまでの生だったという事。】
ほう…良い意見だねぇ…
『そうか、なら好きにしろ。私は見守るか敵になるかもな…ヒヒヒ』
【ソナタはアイアースのギルドの者だろ?】
『ん?あぁ、された…と言うべきか。』
【アイアースの者たちは優しいものが多いがソナタは歪んだ優しさを持ち合わせているようだな。】
『私に優しさなんてあると?…ギヒヒ』
【忠告をしてくれてる。その時点で優しさでは無いのかね?】
『勇者様がしろと言うのでね。私は従うまでですよ』
【そうか…野暮な質問をしたな。忠告感謝する】
『何人生きれるかな?ギヒヒ』
そう言い残し私はその場を立ち去った。
リザードマン達は今一度士気を高める為に儀式を何度も繰り返してた。そして今あの人間では無きものが立ち去った後の背を追うように、アンテ村に向かった。
勇者達は街の端にまだ丈夫そうな家を見つけそこに、勇者が強化魔法をかけ、住民達はその中に入った。そこにちょうど、私が戻ってきた。
「白おかえり」
『白?あぁ私か。』
「あまり真名は言うものじゃないからね。それでリザードマンは?」
『止めたけど彼らは死ぬ気で来るって。だからここは戦場になる』
「そうか…」
『…どうなるかねぇ〜』
「楽しんでるだろ?」
『バレたか』
「アイアースの者としてそれは良くないぞ」
『ハイハイ』
「はぁ…」
『…さて、北の方からリザードマンの大群がいらっしゃいましたよ、勇者様』
「なら私達で迎え撃つまで。」
『いいの?ここに、村人残して。』
「…」
『私が行こうか?』
「白が行くと全てが血の海に変わる」
『御明答』
「私の見える所まで引き連れて…」
ドォーン!!!
「何!」
『私は言ったはず、オーガもぶち込む予定もあるよと』
「クソ!」
『さてどうしようかな〜、私は』
そう言いながら村の中をふらりふらりと歩いて行った。
勇者は焦っていた。あれじゃダメだね。
近い将来命落とす…かな?それは…私が貰っちゃお♪
勇者が焦っているうちにもオーガとリザードマンは戦闘に入っていた。
そして地の利を使いリザードマンは何とか応戦しているが、このオーガは何故かその辺のオーガなんかより力も頭も(少し)高めにあった。
【コイツら、鍛えられてるぞ!】
【魔法軍もっとデバフをかけろ!】
そんなのを呑気に堤防の上から高みの見物をしていた。そして片目に馬車の人間たちが四方を囲む様に動き出していた。よっぽど死霊生物を呼びたいらしい。私も見たいなぁ〜ヒヒ♪
ほわほわした頭で戦場を見ていると勇者達の元へはゴブリンたちが向かっていた。ゴブリン数十人と勇者1人…あぁ…ガウラ、君の腕の見せ所だよ?
数十分が経ち死体の数もだいぶ増えてきた頃、馬車の人間たちは魔法を詠唱し始めた。私は生きてるものと死したもの、両方がいる中で生まれる死霊はなんなのか楽しみなんだが…コイツら念話持ってんな。
『…欲しい』
だから私は1番近くで魔法を詠唱している人間にそっと近づき、詠唱が終わる数秒前にその人間に噛み付いた。
「うあああ!!は、離せ!」
もがいていた人間も次第に弱り死んで逝った。
そして私は念願の念話を取得した。
そしてまた堤防の上に登ると地面が紫に光を発していた。そして死体が引っ張られるように、中央に集まって行った。また、死しては無いものの、弱っているものも導かれるように歩いていた。
勇者を探すと倒れているが死んではいないみたいだ。だが、引っ張られてはいるみたいだ…
さて…ここで疑問。勇者がこの死霊に取り込まれた時その死霊は、勇者のステータスを持つのか。
そうなると面倒だな…
私は勇者の元にひと跳ねした。
『おい』
「あ、アラクラ…」
『ゴブリンなんかに死にかけてどうすんだ?あ?』
「言葉も無い…。…体が引っ張られているんだ。」
『2つの選択肢をやろう』
「アラクラに食われるか死霊になるか…でしょ?」
『へぇ…わかってんだ。』
「…私に生の道は無いんだね。」
『欲しいのかい?そうだなぁ…勇者の称号だけ貰えるなら生かしてやるよギヒヒ』
「悪魔め…」
『時間もないぞ?さぁどうする?』
「勇者の称号なんて…くれてやる」
『ギヒヒ』
その言葉を待っていたとばかりに鋏角を伸ばし勇者の首に噛み付いた。
「ウッ!」
そして勇者は、いやガウラはその場にぺたり力なくと座った。
勇者の称号持ちの私に怖い物なんて…って考えは辞めよう。さて、中央に向かいますか。ヒヒ
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