第7話 ギルド

私はギルドの一室をガウラとトカゲと出た。するとガヤガヤした雰囲気が目と耳を包んだ。

1部は私の事をチラチラ見てくる奴もいるが、別に気にしない。ガウラの事だろう。どうせ私の事なんて少しは話してんだろ。

私達はカウンター席に着いた。カウンターには1人の女性と1人の小柄なおじさんが居た。

女性は

「あら、目が覚めたのね、おはよぉ〜」

『…』

「あら、蜘蛛さんって反応悪いのねぇ」

『…』

睨んでしまった。するとガウラが

「ほらルカ、あんまり虐めるんじゃないよ。彼女はアラクラ。ルカと同じ名前持ちなんだから仲良くしてあげて?」

「あら勇者様?挨拶は大事よ?」

『悪かったな、無愛想で』

「あら良い声してるのね。素敵よ」

『ふんっ…』

「私が1曲歌って差し上げるわ!」

『要らな…』

「〜〜〜♪」

私の言葉を言い切らせる前に歌い始める感じ私は嫌いだ。だが、この歌声…何故か癒される。嫌なのに癒されるという変な感覚にむしゃくしゃした。

ガウラはアラクラの姿を横目で見て楽しんでいた。

初めてルカの歌を聴いたものは癒される。癒されるが苦手意識を持った人間に癒されるのはどういう反応をするのかと。

ルカが歌い終えるとギルド全体から拍手が起こった。

「ふふっアラクラさんどうでした?」

『…良いんじゃねぇの』

「あら嬉しいわぁ〜♪」

「さて、ルカの歌声も聞いたしマスター、今回はどこに行けばいい?」

そして今まで黙っていたマスターが口を開いた。

「今回は少し離れた集落に行って欲しい。何故か魔物の動きが活性化しているみたいでな。それを抑え込んできて欲しい。」

「わかったよ。アラクラ、行くよ。」

私は頷き、椅子から立ち上がった。するとマスターが私を呼び止めた。

「アラクラとやら、君は勇者と共に行動するんだろ?同じギルドの紋章入れぬかね?」

『紋章…?入れてどうする。私は…』

「魔物でもあると言いたいのかね?」

『…』

「それを言うならルカも人間では無い。エルフだ、それでも紋章を入れている。生き物であることに差はないのだよ。」

『…いいだろう。肩に頼む』

そう言い、左肩に紋章を入れられた。

「ここはギルドアイアース。その一員であることを誇りこれから生を精進せよ」

『生を…精進…』

「よし、行くかい?アラクラ」

私は頷いた。そして出口に向かって歩いていた。ガウラが歩いた後に私が歩いていると足を出してくる奴がいた。言わば通り門だろう。軽く蹴飛ばすと、

「あ〜痛てぇなぁ〜なんだよ?あ?」

『足を伸ばすお前が悪い』

「一言言うとかねぇのかよw」

『私は興味が無い』

そう言い行こうとすると武装した足を出した奴が後ろから身構えた

『アイアースと言うギルドは手荒いんだな。勇者』

「程々にしてやれよ?」

「へへ、俺の足を蹴ったんだ、同じ事をさせてもらうぜ!」

そう言い、剣を脚に振りかざした。私は避けるも何もせずに脚で受け止めた。

カキンッ

「…は?」

周りのギルドメンバーも目を疑っていた。

『もう良いだろ?じゃぁな。』

そう言い、勇者と私はギルドを後にした。



2人が出ていった後ギルド内はざわめきが止まらなかった。剣を足で止めるなんて人間じゃないと。

まず目が4個の時点で死を繋がり勇者様を、巻き込むかもしれないと…そんな不穏な空気が漂っていた。

マスターとルカは

「マスター?よろしいのですか?この空気」

「大丈夫だろ、今回の遠征はワシらにも彼らにもここの者にも影響のある仕事だと思うからな」

そして勇者と大蜘蛛の行く末を見守っていくマスターとルカであった。

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