現代和装物語

フィーネ

1.制服と日常

 今日もいつもの朝がやってきた。

目覚まし時計を止めて、しばらくもぞもぞと足掻いたあと、諦めて起きた。


 衣紋掛けにかけてある制服は、セーラー柄の肩掛けがついている二尺袖の着物だ。夏服を着ている今はその素材は綿麻で、割合涼しい。


 中に着る二尺袖の半襦袢は背中の衣紋抜きと繋がった紐が左右の衿についている。

1年生の間はあまり衣紋を抜いてはいけない雰囲気のため、紐の位置は遠慮がちに拳半分抜ける位置についている。ささっと着られる分、昔よりは楽になったようだ。


 半襦袢を着たら、着物の襟についているボタンを留め、襟の幅を折って決め後ろから背負うように着る。私の通う高校の普段の襟の幅は割と自由で、まだ自分で決められる。バチ衿になっているという都立の高校に通っている友達からは羨ましがられた。

 袖を通したら、着物の左右の衿についている紐のうちの右の紐を左の身八つ口から通して、左の紐は右から背中に回し、体の前で結ぶ。

学年カラーのマジックテープタイプの伊達締めを巻き付けたら、これまたマジックテープタイプの学年カラーの帯をベリッと剥がして付ける。

 帯は私のように作ってあるものと、自分で結ぶタイプがあるが、太ることを懸念して結ぶタイプを購入する生徒も増えているという。


 最後に、紺色の綿でできた袴をはく。これもとても簡素化されていて、ヒダが多い前の紐は段階調節が可能なホックで帯のリボンの下で留められる様になっている。後ろは白い小さなヘラがついていて、帯のリボンと着物の間に挿して前で蝶々結びをする。

 最後に、鏡で衣紋が抜けすぎていないことを確認して、部屋を出た。


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現代和装物語 フィーネ @ayaka_fine

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