第46話 趣味の範囲
こうやって執筆活動を続けているのは何のためかと聞かれると、
小説を書くのが好きで、
自分の書いた物を誰かに読んでもらいたくて、
という気持ちで書いているのは嘘じゃない。
「じゃあ、いずれはプロの作家を目指してるんですか?」
と聞かれれば、
「いやいや、趣味の範囲ですよ。こんなのじゃあ書籍化されないですし、書籍化されても売れなくて食っていけないですよ」
なんて答えるしかない。
が。
嘘を吐くな!
本当は書籍化されたいし、専業作家になってウハウハしたい!たまにインタビューとかされてチヤホヤされたい!久々に会った同級生に「今、お前仕事何してんの?」って聞かれたら「まあ、物書きみたいな感じ?」とニヒルに答えたい!妻に「ねえ、どっか旅行でもいかない?」と催促されたら「今度の長編もうすぐ書き終わるから、来週から2週間くらいハワイでも行くか」と偉そうに答えたい!
「このえらく高い交通費はなんですか?」と役所の人間に聞かれたら「今度イタリアを舞台とした作品を書こうと思いまして、その取材費です」と海外旅行を経費として確定申告で答えたい!
「オノダさんの書く作品は、ハラスメントが題材となっていることが多いですが、ハラスメント問題に対して社会はどう取組むべきかお考えはありますか?」とワイドショーの司会者に話を振られたら、「そもそもハラスメントの前に人と人とのコミニュケーションの取り方が問題であって、他人との距離、関係性を蔑ろにしたままの状態を考え直す必要があると思っています」と話をはぐらかして、コメンテーターとしてそれっぽいことを偉そうにテレビで言ってみたい!
と妄想し、文章力、語彙力を上げる努力を疎かにしている僕の文章は、まだ趣味の範囲です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます