第44話 エンディングテーマ

 まだまだ素人作家の分際でおこがましいですが、拙い自分の小説を頭の中で勝手にキャスティングしていると書きましたが、エンディングテーマも勝手に選んでおります。


 言い訳ですが、あくまでも書くプロセスとして、その方が書きやすいというだけで、決して映像化してくれ、映像化するならこうしてくれ、と言っているわけではないです。(いいや。結構、思ってるね)


 僕の場合、プロットというものはほとんど作らないまま書き始めてしまいます。こんな感じのキャラがいて、こんな感じに始まって、こういう結末にしようかな、程度のボヤッとした着想から書いてしまいます。ほぼ、ザックリです。

 ひどい時は、「明るく終わらせよう」「嫌な終わり方にしよう」くらいしか考えてない時もあります。それなので、「明るく終わらせよう」と思って書き進めているうちに暗い終わり方になってしまうことも、またその逆もあります。基本、明るくスッキリ終わらせたい、という気持ちはあります。


 ですから、最初からエンディングテーマが決まっているわけじゃありません。書いていて佳境に近づいていくうちに無意識なのか、そのCDをよく聴くようになってきます。場合によってはそのCDをよく聴くから、話の流れが明るくなってきたり、時には暗くなってきたりします。それは雰囲気であって、歌詞の世界観とあまり関係はないです。


 今回、あと数話で完結を迎える『鎮めよ!』という連載中の作品があります。これはハラスメントで泣き寝入りしてしている人に代わり復讐代行する、という話が本筋になっておりますが、テーマは「別れ」です。

 この作品の着想は「お坊さんが復讐代行したら、意外かもなぁ」というところから書き始めました。お坊さん自体がそんなことするわけないから偽物で、じゃあ偽物であるけど、どうしてそんなことになったのかという経緯を書いた群像劇です。こんな人いたら面白いというキャラ発進で書き始めてます。

 最後は最大の敵に復讐代行するという流れに行くつもりでしたが、途中まで書いていて自分がちょっと飽きてきました。他でも僕の第1作目『アットホームアサシン』という物と同じ流れになりそうだったので、大幅に方向転換することにしました。「別れ」をテーマに浮かんだのも、この方向転換がきっかけです。おかげてボヤッとしていた結末の輪郭が見えてきました。最後の別れは明るいものにしよう、と。メインキャラが巫山戯ふざけた面々なので、終わりはやっぱり明るい方がいいか。(是非、よかったら『鎮めよ!』の方も読んでください)


 その時よく聴いてたのが、Skoop On Somebodyの『a tomorrowsong』です。これがエンディングで流れたら、と思いながら書いていると小説の結末がハッキリしてきました。この曲の歌詞の内容は失恋ですが、妙に明るく爽やかなんです。君がいない明日へ進んで行こう、と前向きな歌です。(これに関しては、音楽エッセイの『ダウンロードじゃなくてCDを買って聴くのが好きなオッサンの音楽遍歴』の方で書こうと思います)

 じゃあエンディングはこの曲だ、と思い始めてから、わりとスラスラ文章が進むようになりました。


 ちなみに『鎮めよ!』の方は、あんまり失恋とは関係ないお話ですが、前向きな歌詞と曲調が作者としては勝手にピッタリだと思ってしまいました。


 僕と同じく執筆をしている皆さん。時に筆が止まってしまう時があることも多いと思います。その時は既存の曲からエンディングテーマを決めてしまうのもオススメです。

 自分が思っている方向性に無理にハメようとして上手くいかなかったり。ヒントは、全く違うところに転がってるかもです。



 なんて偉そうなこと、書いてみました。(現在、ビール2杯目)



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