第17話 文法

 僕はあまり文法とか知りません。

 小中学校の時の国語は5段階で、4とか5とか取っていて、じゃあ国語得意なんじゃん、と思わせてしまいますが、小中レベルの国語だと、授業中に発表をバシバシしてれば、その答えが間違っていたとしても、割と評価は良いのです。


 なんの教科か忘れましたが、授業参観日に中口なかぐち先生がパンの原料の小麦を見せて「この小麦の皮はどうする?」という質問に対し、答えは「皮を取る」ということで石臼を見せようとしていたところ、「はい!」と勢いよく挙手した僕は、「パンの耳になります!」と元気よく答え、父兄が笑い出しました。「先生、リュウのそういうところが好きだ」と言ってくれた中口先生、今も元気かなぁ?

 子供心に間違ってても自分の思ったことを言うのはいいことなんだ、と感じていたと思います。他人から否定されても、あまり深く考えなかったのはこの頃からでしょうか。とにかく、正否はどちらでも自分の考えたことを人に聞いてもらいたい、見てもらいたい、という土台が小学1年生の頃からあったのです。(このやり方は高校ではまったく通じませんでしたが)


 だから、文法がおかしなままでも平気で書いちゃってると思います。もちろん文章力は付けたいし、勉強していく意欲はありますが、ちゃんとはしていないのは否定できません。


 じゃあ何を基準にして書いているかというと、「見た目のバランス」。

 パッと見た時、漢字のバランスが変に左右対象だったり、ひらがなばっか、カタカナばっかとか。なんとなく見た時に「いい感じ」に見えることを優先してます。まあ、自分の匙加減になってしまいますが。

 そうするとシリアスな場面は感じが多かったり、抜いたシーンはひらがなが多かったりと、自然にそうなってくれます。


 本を買うときも同じ。

 もちろん内容で気になって選ぶ時もありますが、新規開拓で知らない作家の本を買う時は、パッと開いたページが好きな字のバランスかどうかで選びます。それを数ページ確認するだけ。帯の広告とか読まないです。「全米が泣いた」的なやつは信用しないようにしてます。

 字のバランスが好みでないと、絶対途中で嫌になる。字のバランスにはリズムがあるように感じてます。

 そのリズムを感じる作家さんは、伊坂幸太郎さんと木下半太さん。この人たちのは字を目で追うスピードよりも次のページを早く捲りたいと感じさせてくれます。

 字面がカッコいい作家さんは、心の師匠 村上龍さん。途中、訳の分からない漢字だらけの単語が出てきたり、めちゃめちゃカタカナ用語が増えたり、しっかり読まないと置いてかれそうなスパルタな文章ですが、ここにも骨太なリズムを感じます。音楽で例えると、伊坂幸太郎さんはポップロック。木下半太さんはスカ。村上龍さんは重厚なオルタナティブロックという感じです。こちらも僕の匙加減ですが。


 そういった感じで、ダラダラと書いている中でもリズムを入れてサクサク読める読み物を目指して、日々奮闘中なのであります。

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