トレアン、もしくはエルフ語で3
「そういえば、エルフの食事はどうすればいい」
「基本的に草食よ。お肉は少ししか食べないし、多分食べたこともないわね」
「好物は」
「デンデラリウムの葉っぱと枝」
「毒草じゃないか」
「多分毒耐性ついているわね」
「ならそこそこ高く売れるな」
「ふふふ」
「とりあえず今日はドロリンゴで」
「あらこれ腐っているわけじゃないのね」
「違う違う。ドロドロに自然発酵するリンゴだ」
「よく食べていたわね。あいつら腐ってるって思ってたのかしら」
「かもしれないな。っ、と。客だ」
「あらトールマン、だったかしら。共通語では」
「合っている」
「あいつらは他種族を性的な目で見るおかしな連中だって認識だったわね」
「なわけねえだろ。特にエルフなんか十世代は前の流行だ」
「なら、今は何が流行っているのかしらね」
「竜族の王を美少女にした春画。こーゆーの」
「あら美人さん。これがあの炎竜王なんて、想像力はすごいわねえ」
「こいつはドラゴンチャリオット春画派だけどな」
「誇り高き竜が無機質でものをしゃべらないただのものに性をたぎらせる背徳感はこれでしか摂取できませんからね」
「やっぱトールマンって変態なのね」
「否定はできない」
「あそうそう買い物な。今日は首刈りウサギを討伐してきたんだ」
「おおウサギ。ならエルフの宝石の中でもこれなんかいいんじゃねえかな」
「あらあらこすると火を吹くルビーじゃないの」
「そこまで高いのは申し訳ねえよ」
「ならばネネッコを追加しましょう。ネネッコは聖なる食物ですから」
「調理方法は?」
「芋なので」
「いくつ渡せるかによる」
「三つまでです。他の者にもこの幸福を分け与えなければならないので」
「ならそれで」
「あとその籠も」
「毛皮もだな」
「脚だけは?」
「全身だ」
「えーどうしよ、チミドロベリーしかないんだよなあ」
「じゃあそれで」
「んじゃ、これで」
「明日はウサギとネネッコのスープな」
「わあい」
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