トゥレ、もしくはエルフ語で2

「空楼街は遠いのかしら?もう二日は歩き続けているわよ?」

「正直に言うとどこに停泊しているかはよくわからん。魔漏人の奴の気まぐれだからな」

「ではそこに着く前に売られてしまうこともあるのかしら」

「あるかもしれん」

「困りますね、天空都市なんて滅多に見られないですし」

「なら労働を対価に雇用扱いでもしておくか」

「あら、荷車でも引きましょうか」

「助かるな」

「ふふふ、リシャよりは軽いわね」

「畜生エルフは先に売られるだろうな。グレングスは空楼街の居住権持っているからテレポートして帰った」

「売られてしまったらどうなるのかしら。できれば死ぬよりひどい目に遭ってほしいわね」

「まあ反抗的な奴隷は高く売れるし性奴隷としても需要は高い」

「うふっふふふ」

「恐ろしいな」

「あなたも恐ろしいわよ。人食い奴隷商ですからね」

「俺奴隷商じゃないしエルフも食べない。個人的に固めの肉をとろとろに煮込んだ筋が好きなんだ」

「美食家ね」

「美食家か?」

「少なくとも森の食物全部食べ尽くして放置するエルフよりはね」

「つくづく蛮族極まっているな」

「そうね」

「…向こうから別の商人が来る。あれは、ゴブリンか」

「あらゴブリン。初めて見るわ」

「よう人食いの旦那。そっちのエルヒは奴隷かい」

「エルヒ?」

「ゴブリン語でエルフのことだな。で、そっちの商品はどうなったんだ」

「それが聞いてくれよお!ドワンフの連中が放置した鉱脈から綺麗な石が出てきたんでえ!あいつら高いものしか興味ねえからよお!」

「そうかそうか、いつもの果実はあるかい」

「まあ旦那はそっちがいいか。今日は少ねえな。せいぜい籠に半分くらいだ」

「なら一個でいい。今あるのはエルフの骨とか、エルフのアクセサリーとか、エルフ関連のものが多い」

「なら宝石だ。宝石の質は問わねえ」

「ブレスレットでいいか」

「あら村長のやつね」

「それでいい。箔はつかなくていいからそれがいい」

「なら決まりだな」

「ところでその果物はなんなのかしら」

「ザクロの変種。人肉そのものの味がするから気が紛れる」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る