第14話 旧上野の部屋

 俺は上野の代わりに上野の旧部屋へと向かい。荷物を取ってくるというミッション中である。

 ホントなんで俺こんなことしてるんだろうな……とか思いつつだがな。ってそんなことを思っていたら上野の部屋にはちゃんとたどり着いたのだが。


 ――本当に人影があった。というのが今である。あっ、幽霊じゃないからな?

 個人的には誰も居ないじゃん。という未来が嬉しかったのだが。そうはならなかった。


 確かに男子?と思われる影。って通路のあかりでちらっと見えたが。男子だな。体型とか服装からして男子とみた。

 とりあえずその男子が上野の旧部屋あたりに立って居た。いや、ちょっとうろうろ待っている。って感じだな。寒いから動いているのか?とか俺が思っていたら、今インターホンを押していた。確実に上野の部屋に用事があるみたいだな。っか家の前でうろうろしていて本人を見ていないのに、定期的にインターホンを押しているのだとすると――危ない奴だな。これは明らかに面倒そうなやつだな。って、俺。あいつ知ってるわ。


 いやなんか上野の話を聞いている時に、なんかそんな生徒俺知っているような……とは思っていたんだがな。あまりそいつとは接点が無くてね。思い出せなかったんだよ。だが、今思い出したというか。ちらっと顔が見えたからわかった。


 そいつは同級生だが今のところクラスは、一緒になったことがないが。確か……四十九しじゅくだ。ちょっと悪目立ちというか。いろいろな噂のある生徒だな。

 でもなんか要領が良いというのか。先生らの評価が何故か高いっていう生徒だな。他にはスポーツが得意って話で――まあ騒ぐ。お祭り系の好きなお方だったか。イベント事では必ず目立つことをしているしな。


 あと、女子によくちょっかいを。って話を聞いたことがあったような。

 ……えっ?なんで接点がないみたいな感じで話していたのにそんなに詳しいんだ?ってか?


 いや、俺には、丸山まるやまって言う友人?いや、あいつこそストーカーか。って、奴がいてな。そいつは情報通?かは知らんが。いろいろ知ってる奴なんだよ。


 さらに何故か丸山はよく俺のところに来るから、なんやかんやでいろいろと話を聞くんだよ。それを俺が覚えていただけ。ってことだ。顔見るまで忘れていたがな。


 にしても、このままだと俺も怪しまれるし。とっとと上野の部屋に行くしかないか。と俺は思いつつ上野の部屋へと歩き出した。


 俺が建物内の通路を歩いて行くと……どうやら向こうも近づいてくる人の気配に気がついたらしく。上野の部屋の前からスタスタと離れていった。そして姿が見えなくなった。

 移動してくれたのはラッキーだが。多分――このあと俺は四十九に捕まる。という未来をちょっと予想していた。


 でもまあそんな未来の事は今は気にせず。俺は部屋の前で番号を再度確認した。

 ちなみに鍵には番号とか書いてないからな。これでここのドアが開かないと……俺が覚え間違えたという悲しいことに。または上野がカギを渡し間違えたというのもあるか。ってでも新しい方のドアを上野は先ほど鍵で開けていたから大丈夫だろう。

 っか鍵に番号が書いてあったら。もし鍵を落としたら……だからな。すぐ悪用されるよな。だから何も書いてない。としている学校側が正解だよな。とか俺は思いつつ。


 よし。大丈夫。多分上野が言っていた部屋だ。そしてあの四十九が居た部屋の鍵穴に鍵を差し込み。ゆっくりと回すと……。


 ガチャ。


 よかった。ちゃんと鍵は開いた。ホントよかった。これで開かなかったら。だったからな。ってことで、鍵が開いたので俺はドアを開けて室内へと入った。


 部屋は当たり前だが暗い。カーテンとかが全部閉まってるからか。そして寒い。冷え切っている。そりゃ誰も居ないんだからな。俺はそんなことを思いつつ電気のスイッチを探し――付けて部屋の中をくるりと見る。部屋は引っ越し前って感じだな。何もないってことだ。ホント何もないし。


 っか、やっぱりこっちの棟の方がはるかに部屋が綺麗だった。

 上野もわざわざボロい方に来るは、でも静かさを求めたか。ここは……今も偶然かもしれないが。今もちょっと下?の階でわいわいしている声が聞こえてきていた。

 でもちょっとうるさくても。部屋を見た感じ作りは同じだがこっちの方がはるかに良い。部屋の雰囲気が違うってか全部が綺麗だからな。ってそのことは置いておいてだな。部屋の見学していて帰りが遅くなりました。とは上野に言えないからな。


 それから俺は上野に言われた通り動いた。


「えっと荷物は入り口にまとめて……ってこれか」

 

 上野に言われた荷物は普通に玄関近くあったのですぐに見つかった。ってか電気を付けた際にすでに見ていたわ。である。


まあ『荷物は入り口にあるだけだから』と上野が言っていたので置いてあったカバンなどを俺はすぐに手に持った。


「あー、そういえば洗面所にも。だったな」

 

 それからちょっと頼まれていたことを思い出し洗面所へと俺は移動した。確かポーチやらがあるから――と別れ際に俺は上野に言われたのだが。あー、あったあった。


 俺は洗面所でポーチ見つけそれもカバンに入れて。って、今普通にカバンのチャックを俺は開けたが……大丈夫だよな。カバンの中身は本?しか見えなかったし。よし大丈夫だ。すぐ閉めようである。


 とりあえずこれ以外の物は全部運んだと上野が言っていたから大丈夫だろう。ぐるっと一応部屋の中も俺は見たが。特に何も残ってなかったしな。


 俺は全ての荷物。ちょっと本が入っているのは重たいが――まあ持てなくはないのですべてを持ち。部屋の電気を消した。


 それから俺は荷物を持ち外へと出ながらポケットに入れてたったこの部屋の鍵を取り出して……ドアを閉め。


 ガチャ。


 施錠確認。鍵もちゃんと閉めたし帰ろう。


「おい。おまえ。誰だ?っかどっかで見たことあるな。同級生か?」


 って、そうなるわなー。予想していたよ。簡単にミッション終了とはならないとね。


「……ホントにこういうのは当たるか……」


 俺の方へと四十九が歩きつつ話しかけてきたのだった。なんでこんな予想だけ当たるんだよ。俺は呆れつつ。そしてつぶやきつつ声の方を見たのだった。

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