第15話 逃げるが勝ち

 旧上野の部屋に荷物を取りに来ている俺。

 無事に上野に言われた荷物は全て持って今は外へと出たのだが。


 すぐに当たらなくていい予想があたり。早々と足止めを食らっていた。


 現在俺の方へと短髪で背丈は俺よりちょっと高め。あー、髪はちょっと髪染めてる?って感じで……これなんて言うんだっけ?ダウンコート?にしては長いというか。膝あたり?まである防寒着?

 なんかマラソンとかさ。サッカー?の控えの人が冬場とか着てるやつというか。俺にファッションの事を聞かないでくれだな。とりあえず寒さ対策はOKみたいな男子が居た。

 俺的に勝手に分類するなら――クラスでの人気者?とか言われそうなオーラを持っているお方だな。そして、俺が余計なことを思っていると。


「おい。おまえ……誰だ?っかどっかで見たことあるな。同級生か?だよな。なんか見たことある」

「……ホントにこういうのは当たるか」


 先ほど俺が部屋に近づくと上野の部屋から離れていった四十九がやはりこちらにやってきた。ホントこういう当たらなくていい予想は見事に当たるんだよな……。

 もう完全に面倒な状況だな。マジで面倒な感じだ。と俺は思いつつ。話しかけてきた四十九の方を見つつ。


「……なにか?」


 とりあえず俺は普通に返事をした。っか俺は四十九の事は丸々とした情報通から聞いたから知っているだけで、ホント接点ないんだよな。


「あー、いや、今この部屋から出てきたよな?お前なんだ?」

「なんだ?言われてもな……」

「この部屋はうみの部屋だろ?」


 ……やっぱりちゃんと上野の部屋と知っての上だったらしい。


「俺は上野に頼まれただけだから」

「はい?」

「荷物が重たいから手伝ってくれ。とね」


 もちろんちゃんとそうやって言われたわけではないが。いいだろう。って、なんか四十九の表情が変わった。


「……お前うみとどういう関係だ?こんなの聞いてないぞ?」

「聞いてない言われてもな……俺は頼まれただけだし」


 そうそう俺と上野とは同級生ながらここ2年3年でいいか。ほとんど接点がなかったのだが。この1時間くらいでの関係というか。知り合ったというか。はじめて話したのなら数か月前だが。まあちょっと知ってるレベルの関係になったのならやはりまだ数時間前だな。


「っか、こんな地味な奴とうみが知り合いか?実は鍵拾ったドロボーとかじゃね?現になんかデカいカバン持って出てきたしよ。怪しすぎるだろ」


 ……まあ俺は派手ではないな。地味であっている気がするが……っかこの面倒な状況どうするんだよ。まあ自分からこのドタバタに乗った。手を貸した気がするが。

 って四十九よ。確か俺は荷物の事を今言わなかったか?なんでドロボーみたいな話になるんだよ。これ変に近くの部屋の奴が聞いていると厄介だな。とか俺は思いつつ。


「だから。上野に荷物運びを頼まれただけだって。じゃ。寒いし俺は行くから」

「待てよ。そう言って逃げるのが怪しいやつなんだよ」


 四十九はそう言いながら俺の前に立ちふさがった。


「……」


 あー、やっぱ面倒だ。とか俺が思いつつ四十九を見ていると。


「頼まれたんなら。ここでうみに連絡しろよ」

「――はい?」

「頼まれたんだろ?ってことはそれなりの関係だろ?もちろん連絡先くらい知ってるんだろ?ここで電話して確認しろよ。出来ないなら俺がここで学校にすぐ通報するだけだよ。誰か知らんが」

「……」


 うーん。面倒なことで。あいにくというか。上野とは話していただけだからな。連絡先とか俺一切知らないんだよなー。ここで学校に通報された方が。四十九がここに居たという事を逆に学校側に言えるか。

 すると、どうやら四十九は俺が何も言えずに黙った。とでも思ったのか。ちょっと声を大きくして。まるですでに勝ち誇ったように四十九は話し出した。


「ほらみろ!何も言えないじゃないか!やっぱり鍵拾ったとかでものを盗みに来たんだろ。今すぐ通…………って、うみ!?」


 現状を言えば……四十九が勝ち誇ったように話していたのは数秒だったな。どうやら俺の背後に予想外の人物が現れたようで。って、名前言ってたから後ろを見ていない俺にも誰が居るのかは分かった。


 急に四十九が俺から視線を外したため。俺も四十九の視線の方を見るためにふりかえると。

 上野がこちらに歩いてきていた。先ほど。少し前に俺の部屋にダッシュで戻って来た上野だな。ちなみに先ほどはマフラーをしていなかったが……寒かったのかマフラーで口元を隠し。暖かそうになった上野が居た。

 っか、なんか……顔が引きつっているというか。大丈夫だろうか?めっちゃ俺不安なんですが……。

 もしかしたらここで再度話しあったら上野が気絶――倒れます。みたいなオーラが漏れている気がするんだがね。絶対上野無理してここに来ただろあれは。と俺が思いつつ。上野を見ていると。

 っか、ホントはこういう時に誰か近所の人が通ればいいのにいないんだよな。さっきは話を聞かれると面倒と思ったが。でも、上野が居ればね。状況は変わるはずなんで。でも、再度になるがこういう時に限って誰も通らないんだよな。そりゃみんなクリスマスを楽しんでるのか。時間的にそうだよな。イチャイチャの時間か。ここは修羅場の時間になる気がするが。あー、ヤダヤダ。  

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