第12話 高速ピンポン

 現在新手のピンポン連続押しの被害のあっている俺。


 とりあえず連続押しを止めさせるため。俺は玄関へと行き。いやなんか怪しいから放置……をしたらインターホン壊れそうだからな。っか今日はいつものように平和。平穏じゃないな。とか思いつつ俺はドアの前で返事をした。


「……はい?どちら様?」


 ホント何なんだよ……と思いつつ返事をすると。かなり切迫した?ような声が外から聞こえてきた。


「私!開けて、助けて!お願い。神戸君」

「はい!?」


 外からは先程出て行った上野の声がしたため。俺は急いで鍵を開け、ドアを開けると。


 ガチャ……バタン。


 俺がドアを開けるとすぐに俺を押しのけるような形で上野が室内に入ってきて。上野がドアを閉めた。そして鍵まで閉めていた。ここまで2秒とかからずだったと思う。


「なっ。ど、どうした?上野?」

「ハァ……ハァ……」


 ちょっと俺にぶつかる形で上野は今横にいる。ほぼ密着というか。なにこれ?


 ってか、上野は走ってきたのか?ちょっと息が荒かった。あとなんかすごい表情。まあ上野を見ただけで何かがあったのはすぐ俺にもわかった。

 先ほど壁越し。穴越しか。での会話の時の笑顔どこ行ったんだよ。ってくらい今は怯えた?ような表情に上野はなっていた。


 っか。今上野との距離が非常に近い。走って来たのであろう上野が荒い息をしているが。あとなんかドキドキしている?音が聞こえる。ってこれは俺自身か。いきなり同級生の女子と距離1センチ。ほぼ接している状態。だからな。

 後輩なら、もしかしたらいつものように接することが出来るのかもしれないが……ってまあ今はそれは置いておいた方がいいな。状況確認が必要そうだし。


「――どうしたんだよ?そんなに慌てて」


 再度俺が上野に確認すると。


「……ハァ……居た」

「えっ?」

「……その私の家の前に……居た」

「うん?ごめん。どういう……」


 上野は何を言ってるんだ?と、思ったが。すぐに先程の上野の表情とその前に聞いた話が俺の頭の中で繋がった。


「あっ、もしかして上野が引っ掻き、ビンタし。蹴り飛ばした……奴が?」

「そう……私の家知ってたんだ。家の場所は言ったことないのに……ちょっとこっち振り向きかけたけど……大丈夫かな?もしかしたら……来てるかも」

「なんとまあ……でも今ここに乗り込んでこないから……大丈夫では?」


 俺はなるべく冷静にそんなことを言っていたのだが……おいおいさらになんか巻き込まれるのか?俺。冷静になるために無駄なことを考えることとした。


 この島に寮はたくさんある。

 俺が今住んでいる第1棟以外はどれも同じ作りの似た建物がたくさん建っている。そのため自分で家の場所を教えない限り。他人の家の場所はあまり知らないが普通だな。ちなみに表札とかもないからな。俺の部屋もだが、玄関に番号が書かれているだけだ。だから誰かの家に行く場合は何棟の何号室とちゃんと聞いておかないと。たどり着けないこともある。


 そりゃ近所とかなら誰がいるかとかは覚えるだろうがな。

 なお俺はお隣さんが遠かっため。今でも誰が住んでいるのかは知らない。


 っかまあでもストーカー。目当ての人の後を付いていけば、すぐに家の特定はできるかな。みんな毎日家には帰るからな。後をつければすぐわかる。

 ちなみにストーカー行為も学校に言ったら相手を退学扱いにできるかと思うが。とか俺がちょっと上野の話を聞きつつ思い。いや切羽詰まっている感じはわかっていたんだがな。こういう時こそ落ち着かないとということでちょっと余計なことを考えていた俺だった。


「つまり。上野は自分の家に入れないと?あっ旧家にな」

「多分……私を待ってる。もしかした……怒ってるかも。いろいろしちゃったし……どうしょう」

「どうしよう……ってな。でも上野は身の危険を感じてやったことだし。っか上野がされたことを学校に通報したらいいのでは?」


 そうだよ。ストーカー行為があって――その前にもいろいろあって。とかでまあちょっとその後精神的不安定になり。壁にあたる。何とかなるんじゃない?とか俺が思っていると。


「……でも私もやり返した。ってか……蹴り飛ばしちゃったし。引っ掻き傷は残ってるだろうから……」

「でもまあその正当防衛的な?って……あー、そっか。上野側の証拠か。証拠証拠って学校はうるさいとか聞いたことあったな」

「……うん。確か。私の聞いた話だと。島の物とか壊して退学になった生徒がいるみたいだけど。防犯カメラに写っていて。とかで、それが決めてになって。って聞いたし。あとケンカとか起こした生徒も誰か。別の人がたまたま見ていて……だったような……」

「確かに……ここはなんかやらかすと。即退学ってイメージだけど……どれも証拠がちゃんとないとか。まあここの壁を破壊したみたいに……」


 俺は部屋の奥の方を見る。玄関からだと――ギリギリ見えるって感じだな。ほぼ見えないか。ちゃんと見て違和感。って感じだからな。


「……今はちょっと穴のことは置いといてよ」

「すみません」


 壁よりストーカーの方が今重要だよな。身の危険だからな。悪い。と俺は思いつつ。


「まあ穴は後だ。っかなんかあるだろ?誘われたりした証拠とかさ」

「学校で誘われただけで……ってそもそも私あの人の連絡先も知らない」

「……なんとまあ」

「それに下手に言うと……私の方が不利になりそうなんだけど」

「……何とも言えないな。相手が誰か知らんが。慣れているというか。ここのルールを上手に使っているように話を聞いていると思うし」


 なんか上野の話している限りだと。証拠を残さないようにと言うか。上手に動いている雰囲気……ってそういえば……なんかそんな生徒居たような……誰だっけ?なんか聞いた事あるような?


 そういえば、ほぼ密着したまま俺達は話しているが。これは上野的には問題ないようで、問題ないなら俺も触れなくていいな。とか思っていると。ほぼ密着している方から小さな声が聞こえてきた。

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