第11話 掃除開始

 現在上野は旧自宅というか。今まで住んでいた方の家へと荷物を取りに行っている。俺はその間に自分の部屋側の掃除をしているところだ。


 っか改めて穴を見ると、普通に上野の部屋が薄暗いがちょっと見えるという。まだお隣さんは殺風景で、よくよく見ると。なんか荷物が壁際に積んであった。


 ってこれ覗きになるよな?そんなことバレたら俺もアウトじゃん。


 するとガチャリと。穴の向こうで音がした。なんだ?と再度覗くと。足音とともに部屋の中が明るくなり。なんだ?と俺が思うと同時に急に視線の先にほどまで、俺と話していたお方が――って、目が合った。いやいや、ドキっだよ。かなり心臓に悪いからな?突然現れるなよ上野。


 今俺の視線の先には、先ほどまでこちらで話していた。上野の姿がある。って確か上野は旧部屋に荷物取りに行かなかったか?とか俺が思っていると。


「今こっち覗いてたよね?上野くん?」


 覗いてましたね。ごめんなさい。


「……偶然だよ。ちょっと音がしたから。って先に穴の周り片付けてるんだよ。で、たまたまここに居たんだよ。っか上野まだ居たのかよ」


 あぶねー。マジで逆に俺が通報されるところだった。


「向こうの鍵が必要だからね。鍵を取りに来たの」

「なるほど。ちなみにマジで見ていたのはたまたまだからな?」

「へー。ちょっと変な視線で見てなかった?」


 ちょっとニヤッと?というのかはわからないが。楽しんでる?でもないと思うが……なんか不思議な表情をしている上野だった。


「それはない」


 っか、何故か穴を覗きつつ話す2人。とその時上野が、くすっと笑顔になった。と俺がちょっと見惚れていると、いや、だって美少女さんの笑顔ってね。良いものがあるので……とか思っていたら。


「部屋の壁に穴を開けて女の子の部屋覗くとか変態ですか?」


 ちょっと笑いながら上野がこちらに言ってきた。何言ってるんだこいつ。


「おい。開けたのはお前だろ?いきなり何を言いだすんだよ」


 ホント何を急に言い出すんだよこいつは。


「ごめんごめん。ちょっとなんか言ってみたくなった。なんか上野君なら冗談言っても大丈夫かな?って」

「変な事言ってないで早く掃除道具持ってこいよ」

「はーい」


 ……なんでこいつ……楽しそうにしてるんだ?っか、雰囲気変わった?話してすっきりしたのか?と、思っていると俺の視線から上野が消えて、部屋の電気が消え。また玄関の方でガチャリという音がした。


 今度こそ気配がなくなったので、前の部屋に上野は向かったらしい。


 にしても、上野もあんな表情。っか冗談?とか言うやつだったんだな。とか思っている俺だった。いやいい笑顔だったよ。なんか余計なことを言っていたが。


 学校ではあんなやわらかい笑顔というか。あんな表情はこの1年弱同じクラスだが。多分見たことなかったような……まあ俺とは接点がなかったから知らないだけか。


 っか、あいつ一瞬だが俺の責任にしかけなかったか?まだ注意が必要というか……俺は上野をちゃんと知らないからな。もしかしたら。いやないとは思うが。気を抜いたら――俺の責任にされる可能性があるのか。とか思いつつ俺は床掃除を続けた。


 それからまあある程度自分の部屋は綺麗になった時だった。


 ピンポンピンポンピンポン。


「えっ?」


 ピンポンピンポンピンポン。


 急に俺の部屋のインターホンが連打された。新手のいたずら……?ピンポン連続押しか?迷惑だな。って、鳴らしすぎだよ!ってか。壊れるからやめろよ。誰だよこんな時間に。

 とりあえず俺は玄関へと向かった。


 ピンポンピンポンピンポン。


 なんなんだよホント。マジで鳴らし過ぎだよ。と俺は思いつつ。玄関のドアの前で返事をしたのだった。

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