浮気
「はんじょう...?」
大会後、祭りの余韻に浸っていたおにやの目を覚ましたのは、"松本"の表札が掲げられた家から出てきたはんじょうの姿だった。
「おにや...どうしてここに...」
背中に汗が流れるのを感じながら、あくまで冷静を装いおにやは尋ねた。
「はんじょう...?」
「お前!いつもこの道通らねえじゃねえか!」
「今日は一駅歩いてはんじょうの家に向かってたん だ。質問に答えてほしい。はんじょう、どうして?」
「いるじゃねえか。」
「え?」
「おめえにはよしきがいるじゃねえか!」
「...っ!」
言葉が出なかった。
やましいことはまだ何もないが、はんじょうのモノとは異なった雄々しさを持つあの顎に惹かれていたことは事実だったからだ。
............終わりだな。
俺はマサさんについていく。
長い沈黙の後、はんじょうが切り出した。
おにやは人目も気にせず立ち尽くし、泣いた。
はんじょうの姿が見えなくなっても泣いた。
その姿を家から見ていた布団は、一人静かに笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます