第8話




彼女は僕にとあるメモを渡すと、


「またね〜」


と手を振りながら帰ってしまった。


メモを見ると、とある有名な大学の名前と学部、キャンパス名、そして向日葵さんの本名が書かれていた。


『齋藤日葵』


それを見て、なんだ向日葵じゃないじゃんと突っ込みたくなった。


でもその漢字より“向日葵”の方が、日葵さんの印象に強く残った。


「…日葵さん」


僕はそのメモを握りしめながら、ぽつりと呟いた。








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