第5話
ふと僕はこう尋ねてみた。
「あの…学部って、どこですか」
「お?私に興味もってくれた??んーとね、私は芸術系の学部だよ。絵を描くのが好きで」
「絵…」
僕にはほぼほぼ縁のない分野だ。小学校の頃にも賞なんて一度も取ったことないし、図工では大体3かできても4くらいしか取れなかった。
ちなみにそれは高校でも継続しているのだが。
「私もきみみたいに、高ニくらいのときには無気力だったなあ。
学校もしょっちゅうさぼってたし。ほぼほぼ進級するためだけに行ってた感じだったなあ」
「なのになんで芸術系の学部なんて…」
「憧れ、だよ」
彼女の薄い茶色の瞳は、僕をはっきりと捉えていた。
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