第3話





「あ、学校さぼってる」


頭上から、高いソプラノの声が聞こえた。僕は声の正体を見ようとそちらへ目線を向ける。



まず最初に目に映ったのは、真っ黒なワンピースだった。


そこから目線を上へ上へとずらしてみると、これまで見た誰よりも大きい瞳と目が合った。

その瞳は生き生きとしていて、彼女の明るさを物語っていた。


「きみ高校生か。その制服なつかしいなあ」


彼女が僕の制服を指す。


「もしかして…OB、なんですか」


いや女の人だからOGとか言った方がいいのかなと考えていると、さっぱりした答えが返ってきた。


「そうだよ。去年卒業して、今は大学生」


とてもそんなふうには見えなかった。


少なくとも僕と同じくらいか、それより年下だと思っていた。


そう思うのは、その大きな目と屈託のない笑顔のせいか。






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