第42話
それは、一種のステータスだ。 居達さんは実家が金持ちで、一応はお坊ちゃまだ。妹も私立の女子校に幼少から通って いた。 彼は有名な物や高価な物や、人が惹かれたり羨む物が大好きだった。そして自分は頭が 良いと自負しており、顔は大したことはないが身長は日本人の平均よりも少し高くスラッとしていたので、自分を最高の男だと思っていた。 そんな自分には、只の女では嫌で何か特殊な物が無いと満足出来ないのだ。なので只の 混血の若い娘では駄目なのだ。目鼻立ちが 整っただけの、日本のそこら辺に生まれた 混血など、そんなのは探せば幾らでもいる事はいる。 だがモデルとして名が出て、人々が知る様になれば特殊な存在だ。特に、パッと出て来てパッと消えればだ。 消えるのも年がいったとか、人気が無くなり落ちぶれたとかではない。只、アメリカで 学業に勤しむ為だ。そうして一般人に戻るが、元はモデルのナニナニだからだ。 その大学生の彼女をアメリカで、自分が囲って愛人にする。大学も自分が出してやる。 親が送金した学費等のお金は貯金させておけば良い。蓄えは幾らあっても良いのだから。 親とは疎遠になっても大丈夫だ。大学生に なる頃には誕生日を過ぎているから、日本では二十歳の成人だ。もう未成年ではないから、親が束縛出来ない。 そしてもうモデルで稼いだお金があり、自分で働いて稼いだという自信も付いている。 なので親に指図されて振り回されたりは余計にない。 大学を卒業後には、直ぐに何処か適当な場所を借りてこじんまりした日本レストランを やらせる。メニューも少なく、簡単な物だ。 数人の従業員を置き、調理や給仕をさせるのだ。 アンジェリンがオーナーだから、マネジメントをしていれば良い。混んだ時は彼女も店に立つだけだ。 居達さんは実家が商人の出だから、そんな事は教えて簡単にさせられる。そして別に儲からなければいけない訳ではない。只彼女が アメリカに住む為のビザを得る為、それが理由だからだ。 そうして小さな日本食堂をやらせて、自分はたまにアメリカに来た時に彼女のアパートに何日か泊まる。 自分が日本にいる時は、適当に現地の男と 遊んでも構わないし、自分との子供なら産んでも構わない。子供は自分の血が入っているから恐らくは賢いだろうし、見栄えも悪くないだろう。 そしてアンジェリンはずっとアメリカに 住む。日本には勿論戻らないし、当然戻りたくはないだろう。 自分も彼女の存在は知られたくない。子供がいれば、その子供もだ。自分には日本での 日本の生活かあり、当然日本人の女と付き 合い、結婚もする。家庭を設ける。 そしてアメリカには、誰も知らないアメリカでの愛人がいる。 そうした事が、彼の二つ目の計画だった。 居達哲男はアンジェリンの知らない所で、 勝手にこうした策略を立てていた。 だが、彼女の脚の太さから全ての計画が水の泡になったと言って非常に怒った。 彼は一度日本からその芸能事務所のスタッフをアメリカに呼んで、アンジェリンを見せていたのだ。 昼時にカフェテリアの出入り口近くの席に 二人で座って待っていて、彼女が通ると話しかけた。 アンジェリンが応えていた時に、ジーッと 舐める様に見ている中年の男がいて変には 思ったが、それがその人間だった。彼女を 品定めに来たのだ。 その時はいつも通りにジーンズを履いていたから、脚は見えなかった。なので細い腕と 比例して、脚も細いと思ったのだろう。 だが居達さんは彼女の脚を見てから、直ぐに日本のその事務所に連絡して、脚がそれでも良いかを聞いたそうだ。そこではもう彼女をコマーシャルだとかで大々的に売り出そうと準備をしていたそうだ。 だが答はノーだった。躰も腕もか細細いのに、脚だけは太い。ふくらはぎとほぼ同じ 太さだ。欧米の女優にたまにいる、ガツンと インパクトのある脚だ。日本人には受けない。だから脚がそんななら駄目だ、最初から脚を確認しておけ、無駄な時間を使わせるなと物凄く文句を言われたそうだ。 それで何度も丁寧に謝ったと言って、非常に怒っていた。 そして顔を何度も強くビンタされた。ほほが赤く腫れ上がり、痛くて泣きながら止める様に懇願すると、やっと止めた。 勿論人がいない所でだ。それは彼の車の助手席にいた時の出来事だ。 アンジェリンは身分証明書のパスポートを バッグに入れていたら、大学の外で落としてしまい、無くしてしまった。 なので彼に連れられてロサンゼルスの日本領事館へ行き、新しいのを申請した。(確か当時はその同じ日に貰えたと思う。) それでその日の帰りに、寮へ着く前に途中で車を停められての出来事だった。 彼女は当時まだ車の免許が無かったから、 パスポートをいつも携帯していた。学校で言われた様に、馬鹿真面目にそんな事をしていたが、スーツケースに入れて鍵を閉めておけば良かったのだ。(その後からはずっとそうしていた。) だが彼はこの話の後に、例の、アメリカの 大学の寮で数人の生徒達にレイプされて写真まで撮られた内容を話した。その写真をネタに強請られた事も、全てを話した。 その時は話しながら目を真っ赤にして、泣き始めた。その様子は丸で赤ん坊の様に弱く、痛々しく見えた。 アンジェリンはその恐ろしい内容に驚愕して、打たれたにも関わらずその余りに哀れな姿に同情した。 慰めようとするとすがってきて、幼児の様にしがみついて頭を彼女の胸に押しつけながら、声を出して泣き始めた。 頭をちょっと撫でながらどうしようかと思っていると、いきなり頭をパッと上げて物凄い顔で睨み付けた。 「お前、同情してるんだろう?なぁお前、俺を馬鹿にしてんだろう?!可哀想なんて思って、自分の方が上だなんて思ってるんだろう、違うか?!」 驚いて黙っていると又続けた。 「ふざけるんじゃないぞ!!俺がお前なんかよりも下な筈がねーだろう?!誰がお前なんかよりも下なんだよ?そんな太い、外人なんかと同じ脚をしてるくせに。せっかくモデルにしてやろうとしたのに、なんとかしてやろうとしたのに、駄目になって俺に恥をかかせたんだよ!!分かってんのかよ?お前が外人なんかと混じってるから、だからそんな太い脚をしてるからだよ!!誰がそんなお前なんかに馬鹿にされんだよ?!誰がお前なんかに!!」 そう言いながら又顔を物凄く強く二、三度 打った。 アンジェリンはぎゃあぎゃあ喚きながら急いで車から出ようとしたが上手くいかず、そうこうしているとやっと止めた。 彼の目は血走っていた。そして今度は正面を向きながら、散々悪口を言い始めた。外人はああだこうだとか、秘書のジャスティーンも外人だから同じ様な太い、凄い脚をしているだとかを何度も繰り返した。 なら何故付き合ってるのだと恐る恐る聞くと、そうすれば色々と言う事を聞くし扱い やすいから仕事がやりやすいし、後は只の セックスの相手だと言った。 結果やっと寮の前でアンジェリンを降ろしたが、降ろす前に居達さんは又話した内容が ある。
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