第34話

「アンジェリン、一体なにやってるの?」 恵梨香が不思議そうに英語で質問する。  アンジェリンが手短に、やはり英語で答えた。                  「だって、何もしてないんでしょう?!」 恵梨香が呆れながら言った。       「何もしてないし、こんな子達知らないんだよ!だけど、何か勝手に勘違いしてさ。」「分かった、詳しい事は後で聞くよ。さあ、此処から出よう!!」            恵梨香はアンジェリンの手を握ると、一緒にドアの方へ行く様に指示した。      「大丈夫かな?何かしないかな?」     アンジェリンは用心しながら恵梨香を見ると、恵梨香は大丈夫だと言った。          「何でそう思うの?」          「彼女達、私を知らないよね。私はこの大学の生徒だから。だから、私には何もしない筈だよ。だからアンジェリンが私と手を繋いで出て行けば、手出しはしないよ。もし何かしたら、私は直ぐに大学に言い付けるしね!」恵梨香は強気でそう言うと、アンジェリンと繋いだ手を引っ張り、二人は歩き出した。 関西弁トリオの娘達はどうして良いか分からず、歯痒い思いをしながら只そこで二人が去って行くのを見守った。         アンジェリンは、たまたま食堂へやって来た恵梨香に助けられた。          そして数日後に恵梨香はこの出来事を、食堂で食事をで取っていた居達さんを見つけて彼に話した。彼はよく一人で遅めの朝食だが早めの昼食、ブランチを食べていたからだ。             恵梨香は彼の事は一度、アンジェリンといる時に会っていたから知っていた。食堂で二人で話している時に彼がアンジェリンに話しかけて、その時に「誰だ?紹介しろよ。この大学の生徒か?」、と言われてアンジェリンが紹介したからだ。            居達さんは話を聞くと驚き、アンジェリンにすぐに確認した。そして三人をきつく叱った。もし又やれば、日本へ帰すと言った。そして、もう二度とアンジェリンにかまってはいけないし、口もきいてはいけない。もしそうした事もやれば、必ず辞めさせて即日本へ帰すと断言した。            だが尺に触った三人の中の、一番太めでがっちりとした体格の娘は又アンジェリンをこのカフェテリア、食堂で見ると懲りずに又近くへやって来た。他の二人はアンジェリンを見て、見ないふりをしていた。                   太めの娘は再び、前回と同じ様に無言で通せんぼをした。数回アンジェリンの前に立ちはだかった。                アンジェンが、いい加減にしないと自分が困るのだと言うと、焦った顔をした。その様子に、後の二人は彼女の名前を何度も呼び、自分達の処へ戻した。           この時は夕飯時で、丁度生徒達がどんどん食事を取りにやって来始めいた。                       それで食事が乗ったトレイを持っていたアンジェリンは、立っていた近くの空いた席に付いて食べ始めた。                 そして、三人はアンジエリンからうんと離れた空いたテーブル探すと、そこで食事を取り始めた。                居達さんが後日、アンジェリンに聞いてきた。あの三人は又何かをしたかと。その大柄な太った生徒の事を話すと、「そうか、分かった。」、と言った。                 「あの馬鹿め!あれ程言ったのに。」、と  そうも付け足した。           そしてその娘は日本へ帰された。両親が大阪から向かえに来させられて、仕方なく帰った。まだ渡米して、二ヶ月足らずだったのだが…。                  そしてそれは、ハクが帰される前の出来事だった。

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