第7話

「お前、此処にいるのが誰だか分かるか?!」                居達さんがダンに怒鳴った。ダンが四人を 見ながら黙っている。          「こちらは、五味川と加須山の御両親だよ!!」                ダンがハッとした顔をした。       「お前、何で呼ばれたのか分かってるだろうなぁ?」                「…いいえ。」              ダンが困りながら小さく返事した。    「オイ、嘘をつくなよ?!もう全部分かってんだよ!ちゃんとアイツ等に確認してるんだからな。」                居達さんが又大声を出した。ダンは困って 黙っている。              居達さんはイライラしながら言った。   「お前、売春婦を買いに何度も行ってるんだろう?それであいつ等や他の若い奴も誘って、あいつ等を連れてったんだろう?!どうなんだよ?ハッキリそうだって言えよ?!」ダンは黙っている。           「オイ、大地!返事しろよ?!認めろよ!!」                大地はダンの日本名で、本名は小山大地だ。「お前、自分がした事を何を隠してんだよ?!言えない事なら、何でやったんだよ?あいつ等が未成年だって知ってるんだよな?大体何でお前もそんな事するんだよ?!お前、此処に何しに来てるんだよ?!」   ダンが謝った。             「すみません!!」           「じゃあ認めるんだな?」       「はい。」                ダンが仕方無く認めた。         「お前、そんな事をしてて、もし病気にでもなったらどうするんだよ?!あいつ等がもし病気になったら、治らなかったらどうしたんだよ?!お前が連れてったからだろう?!」ダンは又黙っている。          「お前、行くんだったらまだ一人で行けば 良かっただろう?!未成年の若い奴等なんて誘ってんじゃねーぞ、オイ?!」     四人の親は苦々しそうにずっとダンの事を 睨みつけていた。            「お前、この学校に勉強しに来てんだよな?英語を勉強しに来たんだよな?だったら、 もう二度とそんな女なんて買いに行ってん じゃねーぞ!!そして絶対に若い奴等をそんな所に連れて行くんじゃねーぞ。分かってんのかよ?!」              「はい。」               「もし又こんな事をしたのが分かったら、 直ぐにお前は学校から追い出す。日本に帰らすからな。良いか?」          「はい。分かりました。」        「じゃあもう良いから行け!」      ダンは出て行った。           居達さんが五味川と加須山の親達を見た。「息子さん達の事ですが、今回の件もそうですが、以前からの色々なトラブルもありますから。だから、やはりもう連れて帰って頂きます。」                 四人は狼狽しながら、何とかならないかと 聞いた。                居達さんは断固として帰らせたかった。  ハクとこの手下二人はKBSの癌だったからだ。                  いなくなれば皆が助かるし嬉しい。だが親達は息子可愛さで、彼等がそのままいたいのは分かっていた。もう呼ばれてアメリカに来た時に会って、そうした思いは彼等から聞いていた。                 居達さんは日本にかけた電話でも簡潔に内容を話して、できれば連れ帰って欲しいと言っていたのだ。              だから親達は居達さんに必死に頼んだ。もう絶対に皆に迷惑をかける様な事はさせないから、頼むから残りの何ヶ月間をそのまま生徒としてアメリカに置いておいてほしいと。 居達さんは余りの執拗さに、仕方無いから 上司に相談すると一旦は言った。そしてこの四人を、泊まっている違うホテルへと車で連れ帰った。            

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