第5話
居達さんは二人の両親に電話で知らせた。そして彼等に付いて色々と話した。それは 今回の売春婦を買った件ばかりではなく、日頃の態度に付いてもだった。 彼等は年中授業をサボっていたし、サボって部屋でゴロゴロしている他にはモールだとかをほっつき歩いたり、昼間から部屋でよく酒を飲んだりしていたからだ。 授業にたまに出ても、真面目に授業に参加していなかった。例えばある教師がクラスで こう聞いた。皆で順番に英語で何かを自分に質問をする様にと。そして自分がそれに答える。そうして会話の練習をすると。 その時、彼等の一人がこうした質問をした。たどたどしいが簡単な英文でだ。 「あなたは今日ウンコをしてきましたか?」、と。 その女教師、ダイアナは非常に驚いたし怒って顔が真っ赤になった。クラス中が物凄く 驚いた。 ダイアナは真っ赤な顔をして、返事をしないで相手を睨んだ。だがこの下衆なガキは平然と言ってのけた。ブロークンなつたない英語で。 「あなた言いました。質問オッケー!!」 ダイアナは怒りながらも仕方無く答えた。 「はい、してきました。」 「大きいですか?小さい?」 「…普通です。」 「オッケー!オッケー、オッケー!!」 言った奴はそう言って嬉しそうに叫んで笑った。 これは頭の狂った、日本での差別と偏見に 根負けをしたから違う地へと、とりあえずは一年間のアメリカ留学生活ヘと逃げて来た ハクではなくて、日本人の五味川か加須山のどちらかだったらしい。 彼等は高校を出てからは就職してブルーカラーとして働いていたが、直ぐにこのアメリカへ一年間の留学ができる学校へ入った。親に頼んでお金を出してもらい、アメリカに来た。 仕事をしたくないし、只ブラブラと適当に 遊んでいたい為にだった様だ。だから、初めから英語を現地で学びたいと言う気持は微塵も無かった。 そして狂犬さながらの、世の中や日本に不満を持った、性格の激しくて乱暴な、だが自分達とは同じ出身者で同い年位のハクとつるんだ。 まだ十代でも丸でヤクザ映画に出て来るチンピラの様な外見の、いつも大声で関西弁を 自慢する様に話すこのクズ達には皆が反発せずに、見て見ぬふりをする。面倒臭いし関わりたくないからだ。 だがこのハクとこの手下二人はそれを自分達に対しての脅威だと見なした。だから我が物顔に振る舞った。そうしてカフェテリアでもどこででも好き勝手に振る舞った。 だから居達さんはこの、売春婦を(ダンと 一緒に)買いに行った二人の両親をアメリカに呼び付けた。 彼等の両親は急いで、正装をしてアメリカにすっ飛んで来た。 居達さんは彼等の両親に全てを又詳しく話した。この時には、アンジェリンと同じEクラスの仁平さんもいた。 彼もやはり大阪出身で、25歳だった。英語もかなりできたし、性格は大変に良い人だった。そして普段は、ハク達の様に関西弁を 使わずに標準語を話していた。 何故居達さんが彼を呼んだのか? それは、関西人で特に大阪人だと、関東人が何かを言っても相手にしない場合がある。何を言っているんだ?!、と。そして特に首都の東京やその近辺の人間が言うとそうみたいだ? アンジェリンも、東京の直ぐ近くの横浜出身だと言う事で、この3人には最高に馬鹿にされてきた。何故首都に近い場所だといけないのか、皆目見当がつかなかったが…。 居達さんは東京出身で後に横浜にもいたのだが、それをしっかりと認識していた。だから彼等の両親が自分の言い分を信じないと 思い、仁平さんを呼んだ。 関東、特に東京の人間だからわざと関西人を、特に大阪の人間を毛嫌いして厳しくしているだとかを勝手に決めつけられたりして中々話がつかないと思ったからだ。 実際にそうしたケースはよくある様なので、頭の良い居達さんはわざと、性格が良くて公平な仁平さんをその場に呼んだ。自分が言っている内容が本当だという事の証人としてだ。
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