第4話

何故この三人が大学の人間に嫌われたかを 話そう。それは彼等のカフェテリア(食堂)での行動だった。            彼等はカフェテリアに食事をしに行くと、 そこで給仕しているアルバイトの人間に、 大概が近所の高校生の女の子達だが、又は レジのおばさんに物凄く傲慢な態度で接した。                  このカフェテリアではKBSの生徒達は、他の生徒達の様に毎回レジでお金を払わなくても良かった。出来合いの食べ物とそこにある ジュースやコーヒー等の飲み物に関してはだ。他の、カフェテリアのキッチン内で調理していない別個に売っているサンドイッチ等以外はだ。               KBSが、学校側とそうした契約をしたのだろう。皆の留学費用の一部には1年分の食費分も含まれていたから、それを大学側に先払いをしたのだろう。            だから一日3回分の食費をいちいちレジで 払わなくても良かった。その代わりに毎回 レジに自分達のそれ用のカードを見せて、 そうした立場だと証明した。そして一日に 3回以上は食べられない様に、上手くなっていた。                 レジに日付と生徒の名前が記してある用紙があり、自分の名前がある横の3箇所にチェックを入れる。レジのおばさんがカードと名前を照らし合わせて誤魔化しが無い様に見る。確かそんな風だった。          カフェテリア自体も2時か3時位になると 食べ物を出さなかった。スタッフが休憩するのと、その日の夕飯の仕度をする為だ。だからその時は売り物用の冷蔵庫に入っている サンドイッチや果物位しか買えなかった。 だからKBSの生徒達は皆レジで特に英語を 話さずに済んだ。だがアンジェリンはレジにいるロージーと言う口うるさい年寄りのおばさんとは親しく口を聞く様になり、ロージーはアンジェリンを気に入っていた。    だがハクと手下の五味川と加須山はこのロージーやアルバイトの子達に酷い態度をして いた。                 ここではまず最初にトレーを取ると、ナイフやフォークをそれに乗せてからキッチンの前にあるカウンターに行き、中にある何種類かある食べ物を選んで注文する。又は、ハンバーガーなど中で肉を焼いて調理して出す物は、言うと中で手早く調理してくれる。それを受け取る。              飲み物は、グラスを取って製氷機から氷を中に入れたらジュースやソフトドリンクの機械から好きな飲み物を入れる。そうして好きなテーブルに付いて食事をする。      それでこのカウンター内にいるアルバイトの、又はカフェテリアに働くメキシコ人の男の従業員で給仕をする者達へ注文をする時だ。ハク達は普通に言わないで物凄く横柄に注文をする。しかも大声でだ。      それは只その料理の名前を言ったり、言えなければ指で指すのだが。そして少しでも遅かったりどれを言っているのか相手が分からないと、日本語で文句を言う。大声で言うか、怒鳴る。                だから中の連中、調理をしている人間も給仕をしている人間も、又周りにいる学生達も 大学関係者も、勿論KBSの生徒達も嫌な顔をする。だが本人達はそんな事は気付かない。又は平気だ。              それはこんな感じだ。肉料理があり、その 付け合せにフレンチフライか野菜の物がある。どれが良いかを聞かれる。するとこう 言う。                 「ポテト!」              相手の若い子は分からない。通じない。発音が違うからだ。ポテトてなくてポテイトーだ。そしてアメリカ英語の場合、tをティーの発音をせずにラリルレロの発音で言うのが普通だから、この場合はポテイローやポレイローだ。だからポテイトーかポテイローか ポレイローと言えば簡単に通じる。だが彼等はそれを知らない。           だからポテトと大声で叫ぶ。それで、同じ列のもっと前に並んでいたアンジェリンが見た光景はこうだ。             「ポテト!」              バイトの高校生の女の子が困った顔をする。又繰り返す。              「ポテト!!」             もっと大きな声で言う。女の子が困りながら顔を見る。               「おい、はよせい?!ポテトや!!」   「I don't understand?!」       女の子が言う。             「おい姉ちゃん。ポテトだって言ってる

やろ?!」 

「This?」               女の子が困りながら野菜を入れようとする。              「No!!」                                  凄い声で怒鳴るで怒鳴る。            女の子の手が驚いて止まる。       「おい姉ちゃん!お前アホか?さっきから ポテトだって言ってるやろ?!」     こんな調子なので女の子は困りながら、付け合せになる幾つかある野菜で、何種類かを煮てある野菜、茹でた人参だけの物、茹でた いんげん豆、ポテトを順番に指して顔を見る。そうして、やっとポテトを指す。   その子の顔は赤くなっている。指して違う度に怒声でNo!!、と否定されるからだ。 泣くのを我慢しているのが見て取れる。基本アメリカ人は気が強いし自信満々が多いが中にはこうした子もいる。          するとやっとオッケーが出る。      「アッ、それやそれ!!Yes,yes!!」   女の子はホッとしながら急いでポテトを皿に盛って出す。すると満足そうにやっと前に 進む。                 一人の時でも二人の時でも三人全員の時でも、いつもこんな態度だった。だから皆、 彼等が来ると給仕するのを嫌がった。   そしてこんな事がいつもだから、給仕する 若い子達はポテトと言う言葉を覚えた。それが''potato”だと言う事をだ。        そしてこの三人が、大体いつもポテトを頼む事から、中には自分の方から聞く子も出てきた。日本語風に聞いて、ポテトはいるかと。だがちゃんとには言えないからポテトー、と。                     「Do you want ポテトー?」

「Yes,yes!!ポテト!!」        だがカフェテリアの人間は皆彼等三人が大 嫌いだった。来る事を嫌がっていた。   そしてこの事は居達さんの耳にも入り、もっと普通に接する様に注意を受けた。それで 多少は大人しくなったが、基本変わらなかった。                  そんな中、ハクを除く二人が、売春婦を買いに行った。立ちんぼうと昔言ったりしたが、道に立つ娼婦だ。それを何度かやった。  どう言う過程かと言うと、前作のアンジェ リンの物語に出て来たダンと言う男に誘われて一緒に付いて行ったのだ。       ダンは北海道出身で28歳、元がダンプの運転手だ。彼もAクラスの人間だ。     俗に売春婦の事をhooker(フッカー)と言うが、ダンは何度かそのhooker達がいる所に通い、一度は性病をもらってしまい、病院で治療を受ける羽目になる!         とにかくこの件が、居達さんにバレてしまう。                  居達さんは怒った!!          次回、その展開を話したい。  

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