10
「あの、"美和"って、呼んでもいいですか」
「…ふたりきりの時なら」
「美和って、意外と泣き虫なんですね」
「…うるさい」
「ごめんなさい」
「…うん」
「はは、可愛い」
「…」
「じゃあ1個だけ。俺のお願い、聞いてください」
「"じゃあ"の意味がわからないから聞きません」
「ごめんなさい。お願い、聞いて?」
「…なに?」
「俺の前では、強がらないでください。今みたいに、素直に、そのままの美和でいてください」
「…難しい、かも、しれない…恥ずかしい、し…」
「それでもいいです。できる範囲で。泣きたい時も、辛い時も、怒ってる時も。そのままの美和を、俺は受け止めたいから。だから、我慢しないでください」
「じゃあ、私のお願いも聞いてくれる?」
「いいですよ」
「ふたつ」
「ふふ。もちろん、いいですよ」
「敬語、イヤ…」
「はい、じゃないや。うん、わかった」
「…ん」
「もうひとつは?」
「辛い時とか、泣きたい時も。ちゃんと言うから」
「うん」
「だから、また、抱きしめてくれる?」
「そんなの、当たり前だよ」
「…ありがと」
──ねえ、あれは、あなただったんだね。
ぎゅうって、抱きしめてくれたの。
それだけで、私は幸せな気持ちになれるの。
だから、ずっと一緒にいてね。
夢のあとで、出逢えたあなただから…
夢のあとで 鳴海路加(なるみるか) @ruka_soundsea
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます