第43話

『我が主!?』

 戦徒サーヴァントの一体が悲痛な叫び声を上げた

『冥府の死徒』は殺意がこもった一撃で、レヴェナントの命を刈り取ったと

 判断したのか、狂躁的なひきつけるような嗤い声を発した

 予測すら間に合わない理不尽な速度で、振り下ろされた鋭い草刈鎌の

 攻撃はレヴェナントも躱せはしなかった


 恐怖と狂気を撒き散らすような嗤い声を発していた『冥府の死徒』は、

 しかし、突然驚愕した呻き声を発する

 攻撃は的中したはずだが――――鋭い草刈鎌の刃に突き刺さっていたのは

 樹皮を剥いだだけの一本の丸太だったのだ!

 丁寧にも『残念!! 外れです』という文字まで刻まれている


『冥府の死徒』が付近に視線を走らせようと思った瞬間には、もう遅かった

 空から落下してきた巨大な質量を持つ何かによって地面に叩きつけられた。

 衝撃により大地は大きく陥没し土煙が上がり視界を防ぐと同時に

 激震とともに激しい振動が生じ地面が大きく揺れる

『お前の相手は、こっちだ!!』

 戦徒サーヴァントらしき声が大きく響いた

 その戦徒サーヴァントは、古代文字のような物が刻まれている長弓を構えている

 また、広野を動き回るための厚手の外套を羽織り、黒革のロングブーツで血避けのためか、口元を袴捲で覆っていた

 長弓を構えている戦徒サーヴァントが弓を引き絞った

 眩い光を発した五本の矢が、流れ星のように『冥府の死徒』に向かって飛翔する

 そして轟音を立てて着弾し爆発を起こす……かと思われた時、

 突如発生した風圧だけで全ての矢を吹き飛ばされた


 怒りに満ちた雄たけびを上げながら立ち上がる『冥府の死徒』の姿があった

『冥府の死徒』は低く重くしい呻き声を発しつつ身体を震わせた

『距離を詰める!!』

 白い狐面が特徴で腰に忍者刀差している戦徒サーヴァントが、高く跳びつつ声を発した

 同時に鞘鳴りするような金属音が響き渡る

 空中に身を躍らせた白面の男は手にしていた忍び刀を振り下ろしたのだが……

 無残にも空気を切り刻むだけに終わった……

 だが、

『これでも喰らえ!!』

 別の戦徒サーヴァントが叫んだ

 声の主の戦徒サーヴァントは、旅行用に整えられた身軽な衣服を着こみ、貌は奇妙な石仮面を被っていた

 掌を上に向けており、そこに巨大な光の塊が回転しながら出現していた

 巨大な光の塊は、『冥府の死徒』に向けて解き放たれるとそのまま吸い込まれるように直撃した


 瞬間、『冥府の死徒』の身体を突き破り、閃光が闇を走り抜けた

 轟音と同時に凄まじい爆炎と大量の土砂が奔騰し、肉片が飛び散った

 それは火山の噴火かと錯覚するほどだった

 爆炎の中で、『冥府の死徒』が『グオオォオオオオッ!!!!』と絶叫を放ちのたうち回っているのがレヴェナントからも視えていた






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