第36話

 両者は力を込め互いに距離を取ると、ゴブリンロードが先に醜悪な殺意を

 孕んだ雄たけびをあげつつ攻撃を仕掛けた

 激突の火花が交差し、ゴブリンロードの剣が地上すれすれに奔る

 狙いは足首だったが、鎧兜に陣羽織を羽織った『戦徒サーヴァント』は、

 寸前で跳び上がる

 剣は空を切り、憤怒の表情を浮かべるゴブリンロードが見上げた時には

戦徒サーヴァント』の剣が頸筋に疾走していた

 喰らえば致命傷だ

 ゴブリンロードは反射的に剣を跳ね上げると、『戦徒サーヴァント』の

 刀がゴブリンロードの貌の横を翳めた

 剣圧の影響なのか、洞穴の床を抉った



 両者は力を込め互いに距離を取ると、ゴブリンロードが先に醜悪な殺意を孕んだ雄たけびをあげつつ攻撃を仕掛けた

 同時に鎧兜に陣羽織を羽織った『戦徒サーヴァント』も電光石火の凄まじい速さで疾走し、迎え撃つ

 縦横無尽の猛連撃をゴブリンロードが繰り出すが、それらの無数の連撃を『戦徒サーヴァント』は、神速の剣裁きで捌いていく

 どちらも苛烈な斬撃だ



 袈裟切り、振り下ろし、逆袈裟切りとありとあらゆる方角からゴブリンロードが

 高速の一撃を繰り出す

戦徒サーヴァント』は、飛んで来る一撃をそれぞれ受け流し、弾き、凌ぐ

 剣と刀が噛み合うが、若干ゴブリンロードが押されつつあった

 苛烈な剣戟が20合30合と火花を散らし、周囲に木霊する


 40合の苛烈な噛み合いが終わり、ゴブリンロードがゆっくりと表情を

 変えていった

 次の行動の動きに映ろうとした時には――――

 鎧兜に陣羽織を羽織った『戦徒サーヴァント』が、その僅かな隙を突いて

 横薙ぎの重い一閃を放った後だった

 ゴブリンロードの喉を切断し噴出するどす黒い飛沫を浴びつつも、『戦徒サーヴァント』は、さらにこめかみを撃砕する



 完全武装で上位種ゴブリンの大群は、ゴブリンロードが倒された事により

 一瞬で恐慌に陥った

 下がろうとするもの、仇を討とうと前に出る者・・・

 だが、そんな暇は与えられる事はなかった



 白い狐面で貌を覆い、闇に溶け込みやすくするため黒ずくめに工夫された

 忍び装束を着込む『戦徒サーヴァント』が動いていたからだ

 その『戦徒サーヴァント』が駆けているが、全身をまるで

 空気へと溶けさせたように

 狙われた事もわからなかった上位種ゴブリンは、次々と頸筋を斬り裂かれていく


 だが、少数だが『戦徒サーヴァント』を的確に捉えた上位種ゴブリンは、

 狙いをつけて剣を振り下ろしてくる

 しかし、高速で立体的な機動で移動している『戦徒サーヴァント』には

 そんな単調な攻撃など受けはしなかった


 高速で一匹の上位種ゴブリンの背後に回り込むと、忍者刀で頸筋を斬り裂けば、

 低い姿勢で地を蹴る

 身体がぶれるほど加速し、次の標的である上位種ゴブリンの間合いを詰め

 頸筋を斬り裂く



 レヴェナントが辺りを見廻した時には、ゴブリンロードを含めた上位種ゴブリンの

 大群は、全て緑色の液体を噴き出して倒れ伏していた

「えげつないほど攻撃力もあがってやがる・・・」

 絶命している上位種ゴブリンの死骸を目視で確認しながらレヴェナントは呟くが、

 冷や汗を垂らし、少し震えていた





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