第35話


 ゴブリンロードは、視界にレヴェナント一行の

 姿が飛び込んでくると、口から重く低く響き渡る奇声を発した

 その合図と共に完全装備に身を纏っているゴブリンの大群が、一斉に

 戦闘態勢を取った

 そして手にした武器を掲げ、怒号を上げながら前進を開始する




『ゴブリンはる気にゃよ』

 黒猫が喋る

が相手をするもんじゃないけど・・・・

 あちらさんは逃してくれる様子もないし、そもそもあんなのを逃したら

 後々がヤバい」

 全身に冷や汗を噴出したレヴェナントが応える

『では、どうするにゃ?

 目視で確認できるだけでも、完全武装したゴブリンが50匹以上

 いるにゃよ』

 黒猫が喋る

「やる事は一つさ

 ――――この場にいるゴブリンを斬って斬って斬りまくれ!!」

 レヴェナントは吠えるように宣言し、命じる

 その声には怯えも迷いもないが、心の奥底の恐怖は消せなかった



『参る!』

 透き通る様な声で短い叫びと共に、一陣の疾風の如く動いたのは

 簡素で無骨な甲冑の上からフード付きマントを羽織った

戦徒サーヴァント』が、当然のように 先手を取った

 向かった先には、数十匹の完全武装をした上位種ゴブリンが固まっていた

 右袈裟から切り替えし左袈裟、返す刃で横薙ぎという連撃を一瞬で受けた

 数十匹の完全武装をした上位種ゴブリンは、次々と胴体を斬り裂かれ

 吹っ飛ばされる

 その周囲にいた上位種ゴブリンも、吹っ飛ばされた同族に巻き込まれ床や

 壁に叩き付けられる

後続がいる為に数の暴力で押し潰そうと考えいたのか、目論見が外れた様だ



 しかし、やはり上位種というだけあるのか、 何とか僅かな隙を狙い上位種ゴブリンの幾数匹が反撃に転じた

 複数の上位種ゴブリンから1撃2撃と速く重い連撃が『戦徒サーヴァント』を

 襲った

 一撃の剣圧が原種ゴブリンよりも桁違いだ

戦徒サーヴァン』の脚、胴、頭に狙いを定め剣を振るわれる

 振るわれる連撃を難無く長剣で受けては払い、そして流す

 その動きには一つも無駄がなく、まるで舞踏の様だった

 逆に、簡素で無骨な甲冑の上からフード付きマントを羽織った『戦徒サーヴァント』の体重移動で加速された重い一撃を受けて吹き飛ばされ、壁に立叩き付けられる上位種ゴブリンの姿があった

 いかんせん相手が『戦徒サーヴァント』だ

 上位種ゴブリンでさえもダメージを与え辛い事だろう




 その光景を見たゴブリンロードは醜悪な殺意を孕んだ雄たけびを発すると、

 目にも止まらない素早さで、簡素で無骨な甲冑の上からフード付きマントを

 羽織った『戦徒サーヴァント』に駆け寄り、手に持つ長剣を振り下ろした

 だがその剣は届く事は無かった

 次の瞬間には既に『戦徒サーヴァント』は、 振り下ろされていた長剣を

 刀によって受け止められたからだ


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